第七話 Memory
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した。
「おい! 何やってんだ! ソイツらは……!」
俺がそう口にすると、玖渚は何か思い出したかのように振り向くと。
「ああ、ごめんごめん! アルス、紹介忘れてたね! あっちが私の兄の慧兄! で、もう片方が私の姉の宵姉! 私の本当の兄妹なんだ!」
そんなことを、サラっと口にした……。
『いい加減に慧兄はやめろって、ゲーム内では零式と呼べ!』
『アタシの装備はこれでいいの。 アタシはこの装備気に入ってるんだから』
そしてそれぞれ口にする二体の敵。
そんな台詞を喋っても、顔は無表情のままだ。
それに、常に武器を持って臨戦状態なのも気になる。
ただ、さっきのサニーやホイミと違って、まだ攻撃してきてない。
……できれば、ダメージを食らう前に、目の前の二体を処理したい。
一体、零式の方の装備はほぼ初期の装備だ。
幾らレベル補正があるとは言え、大した脅威にはならない。
だがもう片方、宵闇の方は装備がイイ。
防具は黒系のロングコートにジェイドグリーンの装飾が施された高級装備。
あのコートは露店で出回ってるが、あの装飾つきのはスキル付与のレア防具だな……。
ルビーレッドがSTRがプラス、サファイアブルーがHPとMPの最大値増量、ジェイドグリーンは確か俊敏系上昇だったな……。
だが、玖渚の言う通り、最前線の俺達の装備から比べれば、弱い装備だが……。
それでも同格レベルに上がっているとするなら、警戒はするべきだ。
零式の方はスチールレイピア、宵闇の方は特殊武器のハガネノオウギか……。
片手剣、細剣、短剣のスキル3つが使えるマルチタイプの高級武器だが……。
あれの真価は、そんなものよりも、装備品そのものについてる特殊スキル、ソードダンスだ。
攻撃速度2倍の恩恵がつく壊れスキルだが、発動終了後に硬直があったハズ……。
まぁそれでもあの装備は半年以上前に流行った武器。
攻撃力だけで見れば俺のグリュンヒルや玖渚のバードナセの方がよほど優秀だ。
ガチンコでやれば倒せないことはない。
……だが、それは、あくまでも、全てがスムーズに行った場合のみだ。
もし玖渚が俺を妨害すれば、大分厳しい戦いとなるだろう。
俺がこんなことを考えているうちにも、目の前で玖渚と、AIの会話が展開されている。
玖渚がじわじわと二人に近づいているのが、気になる……。
しかし、なんでヤツらは敵なのに、動かないんだ?
通常、プレイヤーが接近してきたらターゲットを取って動くハズ……。
そこで……気づいた……気がついてしまった!
「玖渚! 正気に戻れ! ソイツらは……ッ!」
……ここから先が、言えない。
まだまだ間に合うのに。
たった一つ、しょうもない理由で、言えない。
玖渚は、恐らく
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