第七話 Memory
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らない。
故に、敵として出てきた彼らが喋っていた言葉が、ログから抽出されたものだとは、知らないのだ。
玖渚の中では、サニーとホイミは、中の人間をモチーフにしたAIやNPCが喋っているか、もしくは――――。
記憶をゲーム開始直後の状態まで戻された、中の人が喋っている可能性を考えていた。
死を目撃しながらも、玖渚は、まだ死を理解していない、実感していない、信じていない。
故に、彼女の中では、ナーヴギアに脳が焼かれるというのは、嘘っぱちか、ゲームが完全に終了時に一斉に焼かれるものだと思っていて。
まだ、兄と姉の死を、本当の意味で、『わかっていなかった』
だから彼女は、二つ目の扉を開いて。
【TWO―二つ目の絶望―】
『これがSAOか……おいおい、なんかすごくないか! 鈴!?』
『慧兄、はしゃぎすぎでしょ? いい大人が大人気ないよ?』
敵として、傀儡と化して現れた二人を前にして、笑顔を見せた――――。
――――
俺の目の前に現れた二人は、面識が全くないやつらだ。
出ている名前は、ZEROsikiとYoiyami、零式と宵闇、と言ったところか。
ただ、コイツらも恐らくはさっきのサニーやホイミのような、プレイヤーのゾンビ。
俺が知らないってことは、十中八九、隣にいる玖渚のやつらなんだろう。
このクエスト、受注者のPTにいる人間の死んだフレも出てくるのか。
極悪極まりないな……。
しかしこれじゃあ、どうも倒しにくい……。
きっと玖渚だって同じだろう……。
そう思いながら、玖渚へと視線を向ける。
だが、その瞬間、思考が一瞬凍りつく。
……笑ってる!?
嬉しそうな笑顔で、まるで待っていたデザートが出てきた子供みたいに……!?
なんでだ……なんで、笑っていられる!?
そう思っていた直後、玖渚が、目の前のゾンビ二人に対して、口を開けた。
「慧兄ィ! 宵姉! 久しぶり! 元気だった!?」
……!?
今、玖渚、なんて言いやがった……!? 敵に、ただのAIに対して……!?
そんな俺の考えを裏切るように、目の前の二人は、空ろな目で少しの間、こちらを見た後。
『おお、玖渚。 装備も大分よくなってきたみたいだな』
『へぇ、玖渚はレベルいくつに上がった?』
なんて、それっぽい言葉を、放ち始めた。
……違う。
さっきのサニーやホイミと違う!
さっきのAIはランダムなログから抜き出して勝手に喋っていたが。
コイツらは……!
「私はもう50! 凄いでしょ? 慧兄なんて、その装備じゃまだ低レベルなんじゃないの?
宵姉も、今の最前層でそれは話にならないよ」
そう言いながら、二人へと近づいていく玖渚に。
俺は思わず、手を伸ば
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