第七話 Memory
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モンスターと遭遇し、即死攻撃によって死亡した。
元々兄妹だけでやっていた玖渚達は他者と殆ど交流を取らず、配布されたガイドブックすら読まなかったのが、仇になった。
玖渚の兄、キャラクター名『零式』、本名『清水 慧』は、そこで命を落とした。
今まで慧兄と慕っていた人物が突然死んだ衝撃。
ゲーム内では零式と呼べと笑いながら言っていた兄が死んだことに、玖渚と、その姉は、暫く実感することが出来なかった。
しかし幼い玖渚と違い、玖渚の姉、キャラクター名『宵闇』、本名『清水 鈴』は、理解と実感するのはさほど遠い事ではなかった。
玖渚の目を盗んでは宿で一人で泣く日々が続き、玖渚の前では、絶対に己の負の部分を見せなかった。
健気な姉を見て、玖渚はそれに答えるように、明るく振舞いながら、生き残りをかけたデスゲームに身を投じることになる。
この時、まだ玖渚は健全な一般プレイヤーであり、盗みもデュエルも行っていなかった。
だが、切欠というのは突然訪れるものである。
二人で兄の死を見習い、堅実にプレイしたが故に、単純な問題にぶち当たる。
絶対的な資金不足、それ故の敵の情報量の不足、食費のやり取り、狩りのマンネリ化、それゆえの飽き。
宿代は簡単に稼げて生きていけるとしても、上記の問題はどうしようもなかった。
新しい敵に挑もうにも、兄の失態を習って二の足を踏まずと、どうしても慎重になる。
情報不足によりそれも適わないことも多く、食料も一定のローテーションを回し続けるだけ。
この時の彼女らにとって、SAOは牢獄に等しかった。
だからこそ、姉である宵闇は覚悟する。
これ以上妹に負担をかけないため、新しく、安全なスリルを得るため――――。
盗み、という単純な行いをするようになった。
彼女の努力の甲斐があり、マンネリ化から抜け出し、食事も豪勢になった。
資金が潤ったため、情報屋から情報も聞き出せ、彼女達は順調に廻りだす。
しかし、それが続くことはなかった。
2023年1月。
宵闇こと、清水 鈴は死亡した。
玖渚の見てる前で、突如転移結晶を渡したかと思うと、自分のやってきたことを最後に白状し、死んでいった。
最後に玖渚に渡したアイテムは、いずれ玖渚の主流武器となるバードナセの生成材料。
彼女が死んだ原因は、ただ一つ。
泥棒を行った相手が、運悪く、最速のPK、HeavensDoorだったことだ。
もちろん、彼女は相手がPKだとわかった瞬間、逃げた。
逃げて逃げて逃げて――――行き着いた先は、玖渚の元。
そこで、玖渚がポーションを使う前に、彼女はやるべきことをやり、死んだ。
彼女は最後にわかったのだ。
己が今、回復したところで、最速のPKは追ってくる。
そうなれば、玖渚を
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