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オリーブの祝福
第二章
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「ないからね」
「だからよね」
「治安は悪けれどね」
「アメリカはイスラエルよりずっと平和よね」
「もっとね」
「ええ、イスラエルだのパレスチナだの聞くこともずっと減るから」
 そのこともいいと言うカテローゼだった。
「本当に有り難いわ」
「そうなのね、それじゃあ」
「ニューヨークに留学して」
「その間は平和に暮らしたいわ」
 こう友人達と話してだった、カテローゼはニューヨークに旅立った。そのうえで留学生活に入り学生として真面目に勉強をはじめた。
 こちらの友人達も出来た、アメリカは人種の坩堝と言われているだけあって様々な人がいる。特にニューヨークはだ。
 肌の色も髪や目の色もだ、本当に千差万別だ。カテローゼにしてもその金髪碧眼からこう言われるのだった。
「へえ、ドイツ人だと思ったけれど」
「ユダヤ系なのね」
「そうだったのね」
「イスラエル人なのね」
「ええ、そうよ」
 にこりと笑ってだ、こう答えるカテローゼだった。
「私イスラエルから来たのよ」
「そうなのね、イスラエルから来たのね」
「そうよ。多分イスラエル人は少ないわよね」
「そうでもないわよ」
 今のカテローゼの言葉はこう言って否定された。
「というかニューヨークはユダヤ系多いでしょ」
「あっ、そうだったわね」
 カテローゼも言われて気付いた、このことに。
「アメリカはユダヤ系が多い国よね」
「特にこのニューヨークはね」
「そうだったわね」
 このことを思い出したのだ、実はアメリカはイスラエル本国よりもユダヤ系が多い国なのだ。それだけユダヤ系がアメリカに移民してきたのだ。
「特にこの街は」
「そうよ、ユダヤ系が多いから」
「じゃあ私も」
「少数派でもないわよ」
 実際そうだというのだ。
「もっともこの街は色々な人がいるけれどね」
「そういう街よね」
「ユダヤ系だけじゃなくてね」
 カテローゼと同じルーツの者だけでないというのだ、ニューヨークにいるのは。
「ドイツ系もいれば」
「私の名前ね」
「そう、イタリア系もいるしアイリッシュもいるわ」
 勿論イギリス系もだ。
「アフリカ系もいてヒスパニックもいて」
「アジア系もよね」
「チャイナタウンね」
 ニューヨークには世界屈指のチャイナタウンもある、その大きさは世界のどのチャイナタウンにも負けていない程だ。
「中国系の場所ね」
「日系人もいてね」
「本当に色々な人がいる街ね」
「ニューヨークの色は一つじゃないわ」
 それこそだというのだ。
「無数の色があるのよ」
「そうした街なのね」
「そうよ、だからそのことも楽しんでね」
「ええ、そうさせてもらうわ」
 こう応えてだ、実際にだった。
 カテローゼはニューヨークでの生活を楽しんだ、その中で。
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