第3部
芙蓉編
第53話 ジャンプは資源ごみだから無闇やたらに捨てるのは勿体無い!
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それは、ある暑い夏の日の事であった。
何時もの様に町内のゴミ掃除をしていた男は、一人の女を見た。その女は夏の猛暑だと言うのに顔以外素肌を見せないほどの厚着をし、更に両の手は分厚く包帯が巻かれていた。女の顔は酷く痩せこけており目元には隈が浮き彫りになり、今にも倒れそうにも見えた。
その女は男に目もくれる事なく持っていた白いビニール袋を無造作にゴミ捨て場へと放り捨てた。男は薄気味悪さを感じてはいたが、気にせずそれをゴミ収集車へと放り捨ててその場を後にした。
男はゴミの中を確認しなかった。女が食い入るように見ていたからだ。まるで、ゴミを一刻も早く捨てて欲しいと目で訴えてるかの様に。
その翌日もまた、女は現れた。何時もの様に厚着で、何時もの様に痩せこけた姿で、何時もの様にビニール袋を捨てて、何時もの様にそのゴミが捨てられるまで男を睨みつけて……
そんな事が何日も続いた。ある時、其処に女の姿はなく、あったのは例のゴミ袋だけだった。男は恐る恐るその中身を見る事にした。其処には女は居た。何時もの様に―――
***
【ゴミの分別に気をつけよう】
「CMかよ……人騒がせな事しやがって!」
真夜中の暗い部屋の中で、銀時は寝る前のはみがきをしながら主室にテレビをつけてみた。そして、例の光景を目の当たりにしてしまったのであった。
どうやら昨今のゴミの分別の悪さに端を発した清掃会社の嫌がらせなのであろう。
「ったく、はた迷惑な事しやがって、そうでもしなきゃゴミの分別をしないなんて考える事自体幼稚だって気づけってんだよ!」
一人ブツブツ言いながらはみがきを続ける銀時。だが、心なしかその肩は小刻みに震え続けていた。どうやらこう言った類の話は相当苦手なようだ。
一通りはみがきを終え、後は寝るだけと言う矢先、銀時はふと思い出してしまった。
明日のゴミは可燃ごみを集める日だ。しかし、そんな日だと言うのに銀時はあろう事か資源ごみであるジャンプを纏めて捨ててしまったのだ。このままでは業者がジャンプを可燃ごみとして捨ててしまう事になる。が、時刻は既に深夜。
俗に言う草木も眠る丑三つ時位だ。現在外は月の光しか照らしておらず、結構暗かったりする。特にゴミを纏めるゴミ捨て場辺りなど不気味でとても近づけたり出来る雰囲気じゃない。
「べ、別に良いか。ジャンプは読んでて燃えるんだしぃ、ちゃんと燃えるごみとして分類してもおかしくねぇよなぁ」
一人で勝手に納得してしまった銀時、そんな銀時の脳裏にふと、あの光景が浮かび上がる。先のCMで出た不気味な女性が脳内一杯にサムズアップしてる光景が浮かび上がった。 ゴミの分別を間違えたにも関わらずそれを放ったままにした銀時を恨めしそうに見つめていた。
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