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Monster Hunter ―残影の竜騎士―
4 「MAYDAY, MAYDAY, MAYDAY;」
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ゼロッテとエリザだった。
 時はさかのぼってユクモ村、ナギ一行がいなくなってから1週間が経とうとしていた日。
 自分の病のために命を懸けて狩りに出かけた最愛の兄と家族の安全を毎朝毎晩祈る雪路を見かねたリーゼとエリザが、ナギからの頼みもあって彼女をユクモ村遊覧に誘っていた。といっても、それも今日でもう7日目。それほど大規模な村でもないため、やることやれることはほぼやり尽くし、残っているものといえばもう食うか寝るか風呂に入るかしかなくなってきていたころだった。
 そうこうしている間に3人はナギという男を蝶番に非常に親密になっていて、2歳の年の差など無いようにお互いをあだ名で呼び合うほどであった。

「そうねぇ、もう朝風呂には入ったし……」
「あ、そうだ! ユキちゃん、異国のお話してよ! わたしずっと気になってたんだ」
「ああ確かに! あたしも聞きたい!」
「もちろん! じゃあ、どこか……私の借りているお部屋に行きましょうか?」
「んー、ついでに一緒にお昼も食べちゃいたいし、あたしの家に来なさいよ。お昼くらいおごってあげるわ」
「ありがたくいただきます!」
「わーい! お料理わたしも手伝うー!」
「あんたには調理じゃなくて片づけの手伝いをしてほしいわね」
「ええ、どういうことよ!」
「さあ? どういうことかしらねー、ふふふ」
「深く考えたらだめです、リーゼちゃん!」
「ちょ、ユキちゃんも!?」
「あ、いえ、お料理ができないとかそういう意味ではなくて、えっと!」
「ああ! 直球で言ったあ!」
「す、すみません!」
「さっさと認めたほうが己のためってもんよ、リーゼ。ユキも気になんてしなくていいのよ。ふふ」
「もおおお!! なんなのよ2人してぇー! どーせね! どぉーせわたしは料理できませんよーだ!」
「「「あはははははははっ!」」」

 女3人そろえば(かしま)しというが、この三人娘もずいぶんにぎやかに通りを抜けると細道に入り、例によって赤い装飾が施されたエリザと彼女の祖父、父の住む家へと入った。当然2人は今鍛冶屋の方へと出払っていて、家の中には誰もいない。
 風通しのよい造りの家が一般的なユクモ村の例にもれず、ヴェローナ家の中も過ごしやすい室温になっていた。居間の天井から吊り下がっている紐を引っ張ると、電光虫を利用した証明が部屋を明るく照らした。
 お茶を入れ座布団に腰を落ち着けると、リーゼとエリザの向かいに座った雪路がふっと息をこぼした。

「さて……ではどんなことを話しましょうか?」
「そうねぇ……。…ねえ、ナギが生まれた、えっと、どこだっけ……ポケット村?」
「ポッケです」
「ああ、それそれ。そこのお話と、そうね、ナギの小さい頃のお話聞きたいわ」
「わかりました」

 懐かしげに目を細めた
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