4 「MAYDAY, MAYDAY, MAYDAY;」
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ブヒィ――――!!!
耳をしっかと握り、上下に激しく揺れながら猛進するファンゴをそのままぐいぐい操ってエリア4へ。鞘をファンゴの頭に叩きつけて昏倒させると、その場にいたファンゴたちも散らした。
闇に棲むギギネブラは、その生活により目は退化し、光を感じない。ゆえに閃光玉という目くらましの常套手段が使えないのだが、それならそれで逃げようはいくらでもある。今回は、目が見えない代わりに熱源を感知してそれに襲いかかる習性を利用したのだった。
エリア3から四方に分かれたファンゴたちと、そしてここエリア4でも分かれた生物の熱。ファンゴを昏倒させたのは、命が絶たれると、それもこんな寒い地方であると死体は一気に体温を失い、やがて凍り付くからだ。生きて、心臓が働き、血が体内を巡っている限り、生物は熱を維持し続ける。
つまり凪は計7頭のファンゴを囮につかったのだった。
エリア7、さきほど菖蒲たちが向かった場所へ駆けつける。落ち合う場所は洞窟を抜けたエリア6だ。
飛竜などの大型竜ではくぐり抜けられない氷のトンネルを通る。立ち上がると同時に尻餅をついた。
「にいちゃ〜〜!!」
「兄さんッ!」
「クソガキ、無事か!?」
よしよしと頭をなでてやった双子は凪が仕掛けをしている間に大分落ち着いたらしく、瞳にはいつもの聡明さと明るさが灯っていた。そこにわずかに揺れるのは、飛竜4体を相手にするという恐怖心である。
「マップは持ってる?」
「はい、僕が」
ポーチから広げたマップの四方を石で抑えると、早速4人は膝を突き合わせて今後の対策を話し合った。
「その前にちょっと聞きたいんだが、岬、みー。君たちは最初に発見したネブラは結局倒したの?」
「いえ、流石に1日でネブラ討伐は僕たちにはまだ無理ですよ、兄さん……」
「そうか。ああ、気を落とさないで。事実確認をしたかっただけなんだ。さて、それじゃあサクサク話を進めるよ。質問があるなら最後に言うように。いいですね?」
双子が元気良く、菖蒲はまだ緊張の糸を張ったまま固く頷いた。
ゆっくりはしていられない。今はアイルーたちも穏やかにしているからいいが、ここも屋外であるから、空から来られたら逃げる場所がないのだ。そうなる前に伝えなくてはいけない。
凪の、作戦とはいえないような作戦を。
「菖蒲兄。深血石のことですけど、今回はちょっと後回しにさせてもらいます。いいですね?」
「ああ、もちろんだ。今優先すべきはここにいる4人のことだからな。深血石はまた来ればいい」
「ありがとうございます。じゃあ次、逃走経路の確認をします。ここからベースキャンプまで、一番近道なのはエリア7、2を通って1に行く道なんだけど、それだとここで狙い撃ちされる可能性がある」
エリア
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