憎悪との対峙
18 終わり無き悪夢
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あぁぁぁぁぁ!!!!」
スターダストは全身から何かが抜き出される感覚に襲われた。
悪夢が吸い出されて、恐怖と怒りだけが残っているような感覚だ。
「!?うぉぉぉぉぉ!!!スゲェェェェェ!!!これが...コイツの悪夢....信じらんねェェェ!!お前、本当に人間かァァ!?あぁ!?」
「あぁぁぁ....」
だが楽になったのは一瞬だけだった。
心の激しい怒りと悪夢は全く消えなかった。
幻聴はますますひどくなる。
それどころか周囲の影やあらゆるものを見ているだけで、足が竦み始めた。
まるで全てが襲い掛かってくるかのような恐怖。
襲われる前に潰してしまいたくなる防衛本能が極限まで研ぎ澄まされていた。
もう体が限界だった。
「うぅぅぅ!!...あぁぁぁ!!!!」
「ハッ。どうだ?自分の悪夢に心を囚われ、全てのものを受け入れられなくなった今の自分は?」
「あぁ...あ」
スターダストは全身が脱力し、割れた窓ガラスから落下した。
約20メートルの高さから地面に吸い込まれるようだった。
「うっ!?.....あぁ.....」
強化された体であるがゆえにダメージこそ大したことはない。
しかし急激なフラッシュバックによりショックを受けた思考と全身のダメージから立ち上がる事ができない。
そして空は先程から予感はしていたが、雲で覆われ、雨が降り始めた。
「あ...!?ジャミンガー....?」
雨に打たれ一瞬周りに目を向けた時、自分の置かれている状況に気づいた。
スターダストは先程まで浮浪者が徘徊していた路次でジャミンガーに囲まれている事に気づいた。
だがValkyrieの人間ではない。
プライムタウンの住人たちの成れの果てだった。
「ハッ!!ざまぁみろ!!このクソガキが!!」
落下した窓からはナイトメアが、グッタリと力尽きて、自身を囲んでいるジャミンガーに今にも殺されそうになっているスターダストを見下ろしていた。
だがスターダストにはそんな罵倒する声すらも全く感じ取ることができなかった。
「うるさい....」
スターダストの耳にはかつて自分を罵倒し続けた言葉の数々が走馬灯のように流れていた。
視界のジャミンガーたちもクラスメイトや他の学年の不良たちへと変貌していく。
もう誰も信用できなかった。
悲しみで心が心が埋め尽くされ、徐々に意識が遠のいていく。
もう彩斗としての自我は消え失せていた。
そしてとうとう禁断の言葉を口にした。
『僕は...僕だけを信じる...』
そう口にするとその場で力尽きた。
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