第4話 覚悟
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「君たちがどこの国の忍かは知らないけど、どうやら僕たちの敵のようだね。それと」
「なんだよ、オッサン」
茶髪の少年が退屈そうな顔をしてヤマトを見下ろしながら言う。言いたいことがあるなら早く言えといわんばかりに。ダンテ、ラオ、マヤの3人は絶えず二人の忍びから目を離さない。どうやら3人も木の上に居る二人が敵だと考えているようである。暫くしてヤマトは口を開き、
「ぼくはまだオッサンと呼ばれるような年齢ではない」
と掌から木を現出させ、木の上に居る二人に向かってそれを伸ばす。急スピードで伸びていく木は二人に届くかと思いきや当たる寸前でかわされ、そして二人は地面に降り立つ。
目の前の敵を凝視する4人。そして、4人を目の前にしているにもかかわらず笑った顔を崩さない二人。暫くの間沈黙が続くが大男の方が口を割る。
「これは予想外だな。もしかして、『観光大使を護衛してほしい』なんて頼まれてきたわけじゃぁないよな ?」
「あーあ、楽に報酬金ががっぽり入ると思ったのにな〜。これはちょっと面倒なことになりそうだね」
報酬金、ということは、この二人は誰かに雇われているということになる。雇い主は誰なのか、それを知るべくヤマトは冷静に、
「君たちは、一体誰に雇われているんだい ? できればすぐ教えてくれるとうれしいんだけどね…」
と顔に影をかけ、普通の笑顔とは程遠い笑顔を見せて尋ねる。決して穏やかな笑みではないことは確かである。そして、先程ラオがみたヤマトの顔もそんな顔だったのである。恐ろしいことをされる前に正直にことを話すな、自分ならとヤマトの『あの顔』をもう一度みたラオは思うことであった。だが、二人は、
「いやぁ〜、そんなん教えるわけないじゃんよ。ねぇ、兄貴」
「当然だ。それとまだ『明日がある』。護衛がいると確認がとれたところでこれ以上の戦いは無意味だ。早く退散して、作戦を練り直すぞ」
「そうですねー」
そういって二人は瞬身の術でその場を去る。ヤマトが再び木遁の術を使おうとしていた頃には二人の姿はなかった。
「ヤマト先生、逃げられちゃいましたね…」
少しがっかりとした表情でダンテがポロリと一言。内心ダンテは悔しがっていた。もし、あの二人が明日のイベントで何かをやらかす犯人だとしたら…。そう思うダンテはいてもたってもいられなかったのであった。
「ん〜。まぁ、今回は見逃しちゃったけど、次は絶対に逃がさないよ。観光大使も守らなくちゃね。さ、湯の国まであともう少しだ。気を取り直して行こう」
「そうッスね ! 女の子を待たせちゃいけないし !」
「テメェはさっきのことを微塵とも思ってねぇのかぁ !? あぁん !?」
「だめだなぁ〜。女の子がそんな怖い顔しちゃ。なぁ、ダンテ !」
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