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アザミの花
第三章
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「それだけれど」
「百合ってどんなお花よ」
「綺麗で楚々としていてね。優しい感じで」
「そうなってみたいと思わない?」
「百合みたいに」
「そう、アザミもいいけれどね」
「そうね、それじゃあね」
 鮎莉も聡美の言葉に頷いた、彼女もその言葉に見るところを感じたからだ。
 それでこの日から出来るだけ女の子らしくすることにした、食事の仕方も飲むお酒も変えてそうしてさらにである。
「茶道に華道もなの」
「はじめてみたの」
 鮎莉は大学の食堂でお昼御飯を食べつつ一緒にいる聡美に答えた。
「ちょっとね」
「いいことね」
「どっちも女の子らしいわよね」
「大和撫子ね」
 そうした趣きがあるとだ、聡美も認める。
「いい感じよ」
「そうでしょ、だからね」
「これからもしていっていいのね」
「そう、華道で百合も使うでしょ」
「ええ、そうよね」
「これからあんたは百合になるのよ」
 アザミではなく、というのだ。
「それになるのよ」
「わかったわ、それで今もね」
「ええ、親子丼にきつねうどんね」
「この組み合わせはいいのよね」
「これまでは丼でも牛丼とかカツ丼だったし」
 どちらもおっさんが食べるものだというのだ。
「それかお好み焼き定食でもマヨネーズとソースべったりだったから」
「コテコテはなのね」
「オイルギッシュになるから」
 即ちおっさんになるというのだ、無論全ての中年のおっさんがオイルギッシュ、額が脂でギトギトかというとそうではない。
「だからね」
「そういう食事じゃなくて」
「食べろとは言わないけれど」
 その牛丼やカツ丼もだ。
「女の子が食堂で堂々と、っていうのはね」
「おっさんだからなのね」
「ヘルシーに親子丼とかね」
「あと木の葉丼とかもよね」
「そういうのを食べてね」
「それで飲むお酒も」
「日本酒を胡座で飲むのはね」
 鮎莉のこれまでの飲み方もだとだ、聡美も話す。
「よくないから」
「そういえばあんたお酒は」
「そう、甘い系よ」
 カクテルやそうしたものだというのだ。缶等でもだ。
「あとフルーツワインとかね」
「女の子的ね」
「そうでしょ、意識してないけれど」
 聡美の本来の趣味のままだ、素で飲んでいるのだ。
「そうしてるのよ」
「そうなのね」
「今食べてるものだって」
 ヘルシーなものだった、鯖を基軸とした御飯に味噌汁、サラダに野菜の浸しといったものである。
「これは普通でしょ」
「奇をてらってないわね」
「そう、お豆腐だって好きだけれど」
「日本酒と一緒に冷奴は」
「やっぱりあれでしょ」
「ええ、おっさんね」
「脱おっさんよ」
 それが今の鮎莉が目指すものだというのだ。
「だからいいわね」
「これからもなのね」
「食べもの
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