第28話「麻帆良祭〜本質と布石〜」
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りと頷き、答える。
「はい」
一切の迷いもない。真っ直ぐで、真摯な瞳。
「……そうか」
――気持ちは揺るがないか。
呟き微笑むタカミチに、タケルがいきなり、強引に話を元に戻す。
「ところで、早く脱出しないといけませんね」
そんなタケルの言葉に、タカミチも頷く。
「そうだね、でも大丈夫。こういうのは結構なれてるんだ」
モゴリと口を動かす。
「……『慣れている』ということはタカミチ先生は一人でここを抜け出せる術があるということですか?」
「まぁ、ね」
にこやかに頷き、口に含ませていたモノを吐き出そうとした時だった。
「ふっ」
小さく息を吐く音が聞こえたと同時、ギギと機械のフレームが歪むような鈍い音が響いた。
「……え」
「ふぅ……わざととはいえ少し窮屈だったな」
まるで呑気にため息をつく彼に、タカミチの目が驚愕に見開かれる。
――魔法も気も遮断される拘束具の中で、強引に装置ごと破壊した……腕力だけで? いや、まさか……ありえない。でも。
そんなタカミチの疑問を知ってか知らずか、彼は言う。
「すいません。どうしても一人で調べたいことがあるので、先に失礼します」
「え……た、タケル君?」
マジで? と言いたそうな顔のタカミチに、それでもタケルは即座に「スイマセン」と言葉だけを残し、そのまま躊躇なく部屋を出て行ってしまった。
「……」
一人残され、暫し呆然としていたタカミチだったが、やっと思い出したかのように脱出の行動に移るのだった。
超の位置をコントローラーにて表示。
追いかけ、外へ出たとき。その正に丁度。
「クウネル・サンダース選手。優勝ーーー!!」
武闘大会決着のアナウンスが入った。
武闘場では10カウント負けが確定しヨレヨレト立ち上がるネギの姿が印象的だ。
ネギに勝って優勝になるのならネギが準優勝ということになる。
それに関しては驚きと微かなくすぐったさが残るが、大事なことはそこではない。
何よりも、後から思えばついこの瞬間に関しては超さんの件さえも忘れてしまうほどの、そんな大きな疑問が俺の胸を満たしていた。
その疑問とはつまり。
「……誰だ」
つい呟いていた。
何せ、3−Aの最強人間たちが勢ぞろいしている上にタカミチ先生まで参加という意味不明なほどにシビアな大会だ。
その彼やら彼女やらを抑えて優勝した人物がいる。
ほぼ確実に知り合いの誰かが優勝すると思っていたので、正に驚き以外のナニモノでもない。
「まだ他にもバケモノ級がいるのか」
――なんて異常な世界だ。
等と感
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