邂逅
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なこの黒染めスプレー」
その作業とは響の金髪を黒く染めることであった。これはセシリア達が所望したことであるのだがクラスの大半の女子は見たがっていたとかいないとか。
スプレー自体はシャルロットが調達してきたものなので信用は出来るのだが、今までずっと金髪だった響にとっては違和感しか感じられなかった。
「……よし、だいたいこんなもんか?」
櫛を使い斑がないか確認する響だが、鏡の中に写る自分に内心面白がっていた。
……なるほど、黒髪にするとイメージ違うな。
「ふむ……。この際だから髪型もきっちり決めてみるか」
響は机の上に置いた櫛を再度掴むと、髪を梳き始めた。元から完全ストレートではなく、クセがついていた部分もスプレーのおかげでストレートにすることができ、はたから見ると不良生徒ではなく、いいところのお嬢さまのようになった。
「なかなか面白いな。っと……そろそろいかねぇとダメか」
時計を確認した響は部屋を後にした。
部屋を出て学園に近づくにつれ、響は妙に見られていることに気がついた。しかし、響は特に気にすることもなくクラスへの道を急いだ。
「オイッスー」
クラスへ到着した響は勢いよく扉を開け放つ。ほぼ同時に皆がそちらを見るが、皆一様に首をかしげた。
「え、アレ誰?」
「鳴雨さんの声がしたと思ったんだけど……」
「いないね。もしかしてサボっちゃってる?」
クラスメイトから聞こえてきたのは地味に傷つく言葉だった。
「お前ら……人に黒染めしてくれって言ったのはどこのどいつらだったけなぁ!!」
若干声を荒げ、指をゴキゴキと鳴らす響の行動にやっと気付いたのか、クラスメイトたちは声を上げた。
「え、うっそマジで鳴雨さん!?」
「黒髪かわいいー!」
「ちょっと髪型も変わってるよね?」
「金髪鳴雨さん×黒髪鳴雨さん……イケる!!」
口々に驚きや賛美の声を上げクラスメイトの中におかしな発言をしているものもいたが、響はそれに溜息をつきながらも近場のクラスメイトに問う。
「なぁ私の衣装ってどれだ?」
「あぁうん。鳴雨さんの衣装はこれ!」
そう言って取り出したのは長めのスカートにフリルがいっぱいついたメイド服だった。他のクラスメイトはメイド服であるものの、中には短めのスカートのものもいる。
「うまいもんだな」
「でしょー。クラスのみんなで作ったからね。因みに鳴雨さんのエプロンスカートにはちょっとしたおしゃれがしてあるんだよ」
そういって彼女はエプロンスカートのエプロンの部分をたくし上げる。そこには『喧嘩上等』とでかでかと刺繍が施されていた。
「おぉう……さ、サンキューな。じゃあちょっくら着
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