邂逅
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、次の瞬間響は先ほどの網と同じようなものを頭からかぶせられた。
「くっそ! なんでテメェがここにいんだよ楯無!!」
網の中に捉えられ、完全に身動きをとることができなくなった響は悔しげに声の主である楯無に問う。
「今日は一夏くんに自主連課題を置いてきたからね。今彼はそれの真っ最中だと思うから、暇つぶしに遊びに来たの。……これでいいかしら、オルコットさん!」
響の問いに答えた楯無は上の窓から顔を出すセシリア達に告げると、セシリアもそれに大きく頷く。
「ばっちりですわー! ありがとうございます生徒会長!」
「はいはーい。……それじゃあ響ちゃん、クラスに戻って採寸をしてもらいなさい。大丈夫よ私もいるから」
「お前がいる時点で全然大丈夫な気がしねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
無残な響の絶叫も楯無は軽く受け流すと、彼女はそのまま響をひょいっと担ぎ上げクラスまで連行して行った。
数分後、一年一組から響の断末魔が聞こえたのは言うまでもない。
「あー……ひでぇめにあった」
寮の廊下を背中を丸め猫背で歩く響からはいつもの覇気が感じられず、かなりげっそりとしていた。
あの後クラスに連行された響はシャルロットに羽交い絞めにされ、ラウラに足を拘束され、セシリアの巻尺による採寸で散々いろいろなところを測られたのだ。
「つーか、あいつ等途中から楽しんでたな……。今度締めとく必要があるか……」
拳を握り締め光の灯っていない瞳で呟く響からは黒いオーラのようなものが溢れ出ているように見えた。
しかし、響は大きな溜息をつくと軽く頭を振った。
その時、響の隣を眼鏡をかけた少女が通り抜けた。同時に少女の制服のポケットからボールペンが落ちた。それに気がついた響はペンを拾い上げ、少女に声をかける。
「おい、そこのお前」
呼び止められた少女は一瞬ビクッとしたが、おずおずとした様子で響の元までやって来た。
……なんか、久々だなこの反応。
最近になってあまり自分のことを怖がらなくなったクラスの連中のことを思い出していると、少女のほうが声をかけた。
「あの……なにか?」
「お、おぉわるいわるい。ペン落としてたからな、ホレ」
拾い上げたペンを差し出すと、少女は少々慌てた様子でそれを受け取った。
「あ、ありがとう」
「おう、じゃあな」
響はそのまま踵を返し、自分の部屋へと戻っていくが、少女のほうは暫く響の後姿を見つめていた。
そして、いよいよやって来た文化祭当日、賑わう校舎を他所に、響は寮の自分の部屋で鏡を前にしながらある作業をしていた。
「ったく……本当に落ちるんだろう
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