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辻堂雄介の純愛ロード
第壱話『夏の始まり』
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さすがは喧嘩狼」


 蹴りの主は澪だった。


「……また、テメェか!澪!!」

「ゆうさんに手を出す奴は私が許さない」


―――ゴオォォォォォォォォ!!


 澪から殺気が先ほどより強く放たれる。


「いいぜ、そろそろ決着着けたいと思ってたんだよな。澪………いや『喧嘩姫』!!」


―――ゴオォォォォォォォォ!!


 愛からも同等もしくはそれ以上の殺気が放たれる。
てか、さっきから校舎が揺れてないか!?


「「いく(ぜ)(ます)!!」」

「はい、ストープ!ストープ!!」


 二人の間に割って入り。喧嘩を止める。このままこんな所で喧嘩()らせたら間違いなく校舎が壊れる。


「おい、止めんじゃねぇ!ゆう!」

「そうです!ゆうさん!」

「いや、やらしてやりたいのはやまやまなんだが……」


キーンコーンカーコーン


「ほら、予鈴。教室に行かないと」

「なら、仕方がないですね」


 みるみる澪から放たれていた殺気が消えていく。


「それでは、ゆうさん。私は先に自分の教室に行きます。また、後ほど」

「おう」


 屋上から降りていく澪を見送る。


「…さて、俺達も行くか」

「アタシはいい。なんか行く気なくなったから今日はフケる」

「駄目だ。ほら行くぞ」

「あ……」


 愛の手を掴んで引っ張って屋上を後にした。























 これが日常。しかし、今年は特別な夏になる………そんな気がした。

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