第壱話『夏の始まり』
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あ大体このメンバーでよく一緒に登校しているわけで、今はコレが俺の日常。
だが、この普通では無いことが起こるのが我が愛しの学舎『稲村学園』。
海を望む丘に居を構えるオンボロ校舎だけど有名なのはまた別のことでだ。
「テメェら、愛さんに怒られっから通行の邪魔すんなよ!!」
「「「うっす!!」」」
校門に集まっている奴らつまりはヤンキーたち。湘南は不良の聖地なんて言われ出したのは十数年ほど前のことらしいいけど今でもああいった気合いの入った奴らが自然に集まってくる。
そして―――
「愛さん、おはようございます!!」
「「「おはようございます!!!」」」
ヤンキー達にあいさつされながら真ん中を歩く少女。彼女は『辻堂愛』この最凶校稲村学園を入学初日で掌握した我が校最強…………いや恐らく湘南最強だろう、なんせ『喧嘩狼』と呼ばれているほどだ。
「やれやれ、今日も迷惑な奴らだ」
「ヴァンって不良っぽい人嫌いだよね」
「不良だぞ。好きな奴などそうそういるもんじゃない」
板東の言った通り、不良に自ら近づき関わろうなんて奴、普通はいない。
「お〜い、愛〜」
何の迷いもなく、声を掛ける。すると、その声に気付いた愛はツカツカとこっちに向かってくる。そして、俺の前で立ち止まると…
「……ちょっと、こっちこい」
と言い俺の睨みながら胸ぐらを掴んで連行される。他のみんなはその光景を唖然として見ていたのは言うまでもない。
◇◇◇◇◇
〜屋上〜
――ドカッ!!
屋上に連れてこられてすぐそのまま壁に押し付けられる。
「……おい、ゆう。学校ではアタシに声掛けんなって言ってるよな?」
「そう言われても、従兄なんだから、別によくね?」
「なんて言うか……その……恥ずかしいし……それに従兄だってことみんなにはナイショ……だろ」
少し頬を赤らめながら言う、愛。こういった反応するところは可愛いのになぁ。
「そ、それに、アタシは番長なんだ!クミとか他の連中に示しがつかない!」
なら、そんなもん辞めればいいのにとは思うが口には出さない。愛はなんだかんだ良いながらも面倒見はかなりいい。
「わかった、わかりましたよ。学校じゃあ出来るだけお前に話しかけな―――」
―――ブンッ!!
「!!」
「うぉ!?」
俺の胸ぐらを掴んでいる腕目掛けて蹴りが来るが瞬時に気配を感じた愛が腕を放して蹴りは空を切った。
「ちっ、外したか。
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