第五十九話 ハロウィンの衣装その十二
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「天守物語はね」
「身近にあるんだな」
「その天守物語はね」
怖くはないというのだ。
「むしろ綺麗で愛嬌があるのよ」
「けれど、だよな」
「幽霊はね」
どうしてもだというのだ。
「怖くなるのよ」
「人間の方が怖いのは」
琴乃も考える顔で言う。
「生きていても死んでいてもなのね」
「そう、生霊でも死霊でもだから」
生霊は生きている人間の身体から出たもので死霊は身体が死んで出ているものだ。その違いは大きい様で然程ではない。
「生きている人もね」
「怖いものよね」
「実際に怖い人いるのよね」
景子も語る。
「ヤクザ屋さんとかいう意味じゃなくて」
「その心がよね」
「怖いってことよね」
「そう、まさにね」
心がだ、怖いという意味での怖い人だというのだ。
「心が鬼っていうか」
「神社にもそういう人来ることあるのね」
「相談を受けたりするか、お父さんが」
それで家の中にいて聞いてしまうというのだ、このことは景子が神社にいるからこそ聞くことなのである。
「そこで聞くけれど」
「それでなのね」
「そう、よくある嫁姑とか以外にも」
人間関係の定番に限らず、というのだ。
「親子とか他の親戚とか学校でも職場でもね」
「一つに限らないで」
「色々あるのね」
「そう、それでね」
その中でだというのだ。
「聞くのよ、そうした関係をね」
「それでなのね」
「怖い人のことを」
「聞くわ、中には鬼もいるから」
文字通りだ、そう言っていい人間もいるというのだ。
「正真正銘のね」
「心が、よね」
彩夏は目を顰めさせて景子に返した。
「それって」
「そう、心が鬼かね」
まだあった、鬼以外にも。
「餓鬼とか怨霊になってる人が」
「生きながら怨霊になるっていうのも」
「なるのよ」
生霊と死霊には違いがない、死霊だけが怨霊になるとは限らないのだ。そして幽霊とは身体から魂が出ただけであるから。
「生きていて魂は身体にあってもね」
「怨霊がいるのね」
「もう凄いわよ」
魂が身体にあるままの怨霊はというのだ、その他の鬼や餓鬼もである。
「どうにもならないから」
「実際の吉備津の釜よね」
里香はここでもこの話を出した。
「それになるのね」
「そう、正真正銘のね」
怨霊だというのだ。
「そうした人達の話を聞いてるとね」
「妖怪より幽霊の方がずっと怖いんだな」
美優も腕を組んで言った、そしてだった。
彼女が知っている話をだ、ここでしたのだった。
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