第五十九話 ハロウィンの衣装その十一
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「かなりの想いがあって残ってるから」
「それでなのね」
「幽霊の方が」
「怖いんだな」
「妖怪よりもずっと」
「そう、だから怪談でも幽霊のものが一番怖いのよ」
そうなるというのだ。
「妖怪ものよりもね」
「雨月物語も怖いのよね」
ここで里香はこの古典の名前を出した、上田秋成が書き残した名作である。彼は他には春雨物語も書いている。
「特に吉備津の釜が」
「何かその作品物凄く怖いのよね」
景子はその顔を青くさせてさえいた、吉備津の釜と聞いて。
「確か」
「私石川淳の現代語訳を読んだけれど」
原本は読んでいないというのだ。
「けれどね」
「それでもなのね」
「そう、怖かったわ」
実際にそうだったというのだ。
「一度読んだら忘れられない位に」
「そうなのね、やっぱり」
「景子ちゃん吉備津の釜に興味があるのね」
「幽霊にはね」
そちらにだというのだ。
「あるわ」
「そうなのね」
「神社にもそうした話が来るしあるから」
家の仕事から縁が出来ているというのだ、幽霊話との。
「子供の頃から聞いているから」
「そうなのね」
「そう、それにしても吉備津の釜ってね」
「怖いわよ」
それもかなりだというのだ。
「一度読んだら本当に忘れられないから」
「わかったわ、じゃあ機会を見て」
「けれど確かに幽霊の方がね」
里香はあらためて言った。
「怖いのよね」
「妖怪ってユーモラスっていうかさ」
美優も里香に応えて今の話に入る。
「愛嬌あるのが多いよな」
「狐や狸なんか特にね」
「猫又とかもな」
「犬も烏天狗もね」
五人がなるそれぞれの変化達もだった、だが。
幽霊についてはだ、美優も色々な話を知っていて真剣な顔で言うのだった。
「怖いよな、憎しみとか怨みでさ」
「そういう感情が一番怖いのよね」
「妖怪って明るいのが多いしさ」
「ゲゲゲのとかでもね」
それが河童だの悪魔でもだ、こうした作品においては妖怪は敵でもあるが何処か親しみを感じさせるユーモアがあるものだ。
しかしだ、幽霊はというと。
「生霊も死霊も」
「おっかないよな」
「多分一番怖いのはね」
「怖いのは?」
「心なのよ」
里香はこのことは真面目に言った。
「心が怖いから」
「その幽霊のだよな」
「吉備津の釜だってそうだし」
里香が今主に言うそれもだった。
「怨みとか憎しみだから」
「だよな、色々な幽霊話あるけれど」
「天守物語は怖くないのよ」
泉鏡花の代表作の一つだ、鏡花は所謂お化けものを多く書いてきている。そちらの第一人者と言っていいだろう。
「妖怪はね」
「ああ、姫路城の」
「そう、あそこのお話よ」
五人もいる兵庫県で最も有名な城だ、徳川幕府が大坂城の
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