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万華鏡
第五十九話 ハロウィンの衣装その七
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「それになるわ」
「天狗もなの?」
 その天狗になる景子が里香に問うた、そして問うた瞬間に自分でわかった。
「ああ、烏天狗ね」
「そう、それになるから」
「皆動物系なのね」
「じゃああれだよな、これって」
 美優は腕を組んで考える顔で言った。
「それぞれ着物を着て耳とか尻尾付けてか」
「それってメイド喫茶じゃないの?」
 彩夏は耳と尻尾からそうした店を連想した。
「あそこ猫耳と尻尾を付けることもあるから」
「あと肉球よね」
「そう、それね」
 彩夏には琴乃にもこう返した。
「メイド喫茶でよくあるじゃない」
「何とかだにゃん、って言ってね」
「それかそのまま猫カフェか」 
 メイド以上に恐ろしい破壊力を持っている店だ、その破壊力の前には屈強の大男ですら適わない。犬カフェと並ぶ恐るべき店だ。
「それよね」
「ううん、猫ねえ」
 琴乃は自分がなる妖怪から言った。
「これってね」
「尻尾は二本だからね」
 里香はその琴乃にこう言い加えた。
「猫又だから」
「そうだったわね、猫又は」
「その二本の尻尾に魔力があるって噂なのよ」
「五十年生きた猫がそうなるのよね」
「そう言われてるわ」
「それじゃあ私は尻尾二本ね」
「私は送り犬だけれど」
 どうなるかとだ、里香は自分のことについても述べた。
「ええと、そのまま尻尾とか付けるのかしら」
「陰陽師みたいな服と烏帽子じゃないの?」
 彩夏が考えている里香に言った。
「それじゃあ」
「それだと犬神じゃないの?」 
 こちらは恐ろしい妖怪だ、平安時代の礼装の犬の姿だが祟る存在であり犬憑きとはこの妖怪に憑かれていることを指すのだ。
「あれはね」
「また違うのね」
「そうだと思うけれど」
「犬神とかやばい妖怪は外したからさ」
 美優はここで四人にこう言った。
「幽霊系は特にさ」
「そういえば有名な幽霊ないわね」
「よく見たら」
 四人は出されなかった紙を見て言った。
「有名な怪談の幽霊とかは」
「そういうのは」
「祟られたら洒落にならないだろ」
 特にだ、楽しむ筈のハロウィンでだ。
「だからそういうのは全部外したんだよ」
「そうなのね」
「平和なものばかりにしたのね」
「ああ、だからな」
 それでだというのだ。
「皆たまたまにしても動物系の妖怪になったんだよ」
 里香に言わせると変化にだ。
「そうなったんだよ」
「じゃあ送り犬の格好は」
「どうなるかだよな」
「普通に着物で犬の耳と尻尾でいいかしら」
 里香は考える顔で言った。
「それで」
「別にいいんじゃね?あたしは狐だから」
 当の美優はどうなるかというと。
「あれだよな、尻尾は九本だよな」
「九尾の狐ね」
「それになるよな」
「演劇部の衣装
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