第一物語・後半-日来独立編-
第六十九章 竜神《1》
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生成出来る能力は憂いの葬爪には無い。あるのは流魔の回復などだ。
流魔が回復出来るならば奏鳴の内部流魔を回復させ、竜神の血による暴走を止められるのではないか。そう思ってもおかしくはない。
しかし内部流魔というのは回復と言う表現を使うが、外部流魔から無駄なものを取り除いて身に蓄える流魔。
つくり出すのであって、回復するのではない。
そのため幾ら憂いの葬爪に、流魔の回復の能力があったとしても意味が無いのだ。
吸収率が悪いと感じながらも、動けないのでは他の何かを出来るわけがない。
いや、待て。自分にそう言い聞かせた。
憂いの葬爪には流魔が記憶した出来事を読み取る能力がある。もしかしたら、竜神の流魔を読み取ることで竜神が黄森の長を狙う理由が突き止められるのならば。
可能性はある。
万物は流魔で出来ているのは当然のことだ。例えそれが神であっても変わりはしない。
新世代神、新世ノ神である傀神の力。
憂いの葬爪を使えば、何か分かるに違いないと思ったセーランは早速行動に移そうとした。
が、その時だ。
『我が宿り主よ……どうやら、彼方からやって来たようだ……』
脳に直接聞こえる傀神の声。
言葉を聞き終え、理解した後には既に遅かった。
意識が吸い込まれるかのように、急にくらっとした感覚を得る。
傀神の言う通りだ。流魔を読み取る前に、竜神自らセーランを自分の方へと引き寄せた。
なんの狙いがあるのか。
理解出来無かったが、結局は抗う前に意識が無理矢理引き寄せられた。
まぶたが重く、視界がぼやける。
疲れきった身体が睡眠を欲するように、すぐさま目の前が真っ暗になった。
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