第一物語・後半-日来独立編-
第六十九章 竜神《1》
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程度の距離を置いて、巨大な竜神の身体に向かって繁真は攻撃を放つ。
「沸き出ろ、蛆虫」
妖刀を振った軌道上に細長い黒い玉が無数に現れ、すぐに蝿へと姿を変えた。
黒い蝿は竜神の身体へとぶつかるや否や、一定の範囲ではあるものの無数の穴が空いた。
傷口から血が滴るように、空いた穴からは竜神を構成する流魔が分解され、散っていく。
まだ終わりではない。空いた穴をよく見ると蛆が沸いていた。竜神の身体を喰い、穴を広げて蝿へと成長する。
数は次第に増えていき、蝿によって攻撃を受けた周辺は黒く動くものによって侵食されていた。
自身の身体が喰われていることに竜神は怒ったか、長く巨大な身体を乱れるようにして暴れ出した。
動くことによって起きる風圧が、まるで嵐に吹く風のように強い。壁のように三人を近付けさせない風を、左側なら攻める清継が割って竜神への接近を試みる。
今の竜神は繁真によって放たれた蝿によって出来た穴から、沸き出てくる蛆に気を取られている。三人には目もくれていないため、接近するチャンスだと捉えたのだ。
判断は間違ってはいないが、目もくれていないということは周囲の把握を行っていないということ。
「無理はするな。蛆虫の攻撃に気を取られ、竜神は周囲を気にしていないが攻撃に巻き込まれる危険があるぞ」
「侮っちゃいけませんよ。私だって補佐ながらも黄森の覇王会なんですからね!」
暴れる竜神に迷い無く行く清継は器用に映画面による足場を駆使し、縫い目を縫うかのように竜神の軌道を読み、隙間を行った。
風をも味方とし、加速の補助として利用する。
そうやって行う清継の戦い方は美しかった。
魅了されたセーランは、自身も竜神に接近しながら清継の戦い方に興味を示した。
「舞闘か。やっぱ個人個人戦い方が違うから、灯の舞闘とは違うな」
一人、感想を言いながらも竜神に繋げた流魔線を縮め、距離を閉じた。
上手くいけば竜神に接近出来る。
そのための援護を黄森の学勢やってもらいたいが、どうにか出来るだろうか。
「すまねえけど、一瞬でもいいから竜神の動き止めれくれねえかな?」
「一瞬だけでいいのでしたら丁度よかったですね」
口調は変わらぬものの、何処かセーランに盾突くような言葉。
なんにせよ、彼方には何か策があるらしい。ならばやってもらう。
清継は舞うように移動しながら、確実に竜神との距離を縮める。軌道と言う流れを読み、両の手にした内の右の槍を通り過ぎる形で竜神の身体に刃を当てた。
冷たい音が響く。
身体の周辺に生えている鱗によって刃は弾かれたものの、あくまでも清継の狙いは右の槍、右鎖の刃を竜神に当てることだ。
狙っていたことを行えたため、セーランへと準備のことを告げる。
「日来長、攻めの準備を」
確認も取ら
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