第一物語・後半-日来独立編-
第六十九章 竜神《1》
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。なら私は覇王会伝達者の権限をもって戦いの中止を呼び掛ける」
「黄森の者達には拙者から伝えておこう」
無駄な戦闘を避けたいのは、やはり彼方も同じかと飛豊は思った。
今回の黄森はあまりにも手緩い気がしてならないが、自国の者だからこそ同情が湧いてしまったのか。
なんにしろありがたいというのが、素直な感想だ。
セーランは竜神の攻略のために案を上げ、
「砲撃を止めたら俺は竜神の頭部に接触する。そのための援護を二人には頼みたい」
「頭部は竜口砲の死角になるからだな。了解した。日来長が先行した後、援護へと回ろう」
間が空いたのを確認し、早くここを離れたいがために飛豊はすぐに話し始めようとした。
近くには竜神がいるのだ。何時なんどき自分が標的にされるか分からない。
「それぞれやることが決まったならもう離れてもいいな。怖さでどうにかなりそうだ」
「ビビりだからな飛豊は」
「お前には言われたくない! て言うか、平然としていられる方がおかしいだろ」
「ブツブツ言ってると狙われるかもよお?」
「今この状況でその冗談マジで洒落にならない気がするから止めろ」
叱られ、へーい、と気の抜けた返事を返したセーラン。
心配はあるものの、飛豊は自身が残ったとしても何か出来るわけでもないのを知っている。ゆえにこの場から離れることは正しい行為だ。
それに黄森の覇王会に直で見詰められ、変な汗が止まっていない。
「ここは頼んだぞ」
「おうよ。そっちも頼んだわ」
頷き、飛豊はリュウに行こうと伝えるように背を叩く。
それを受け、理解したリュウは一言。
「無理しちゃ駄目だぞー」
セーランに言ってから、竜神と距離を離すように遠くへ離れて行った。
覇王会伝達者である彼女の発言で日来、宇天の学勢は戦いを止めるだろう。黄森の学勢も手出しをしてこない相手に対し、無闇に攻撃はしてこないに違いない。
問題を上げるとするならば黄森の社交員の方で、幾ら覇王会でも社交院までは縛ることは出来無い。
今現在、この場にいて社交員の行動を制限出来る者は繁信のみだ。
理解している繁真は映画面を表示し、まずは黄森の社交員らへと指示を飛ばす。
表示から少し経ってから口を動かして、
「全社交員に告ぐ。戦いは中止、各自撤退の準備を開始しろ。繰り返す。戦いは中止、学勢にもこの指示を伝えた後、各自撤退の準備を開始しろ」
急な戦いの終わりを告げる指示を聞き、一瞬動きが止まった社交員達。
当然のことだ。急に言われたのだから。
何も言わずに理解出来る程、彼方も大人ではなかった。
『何故そのような指示を行う。まさか敗けだというのか!』
『もう二度と解放の機会が無いかもしれないのに、これはどういう判断だ』
『アタシも納得いかないね。指示は聞くが、説明
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