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乱世の確率事象改変
知る者は少なく
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にしても、秋斗の組み立てた予定では最終まで掛かってしまう。天下三分後の統一を目的としている為に。
 思考と予測を積み上げていく事にもう慣れていた秋斗は次々と大局のパターンを考えて行き、袁術軍を押し返した後どうするかの方策を練り始める。

――俺達が軍として動くなら、早い内は無理。でも……俺個人が糸を張るくらいは出来る。

 軍の状況、規模、大陸の情勢。全てを当てはめて考えても、哀しい事に何一つ見つけられなかったが、彼には出来る事が一つ思い浮かぶ。

――それをするのは前提条件として桃香の大陸制覇が必要だ。つまり……なんにしても袁術軍の対応が終わってあいつに決断を迫ってから、だな。

 結局の所、全ては桃香が大陸を統一出来るかどうかにかかってくる事に気付き、思考を止めた秋斗はせめて白蓮の意思を確かめておこうと口を開く。

「なぁ白蓮」
「ひゃっ……ど、どうした?」

 妄想の果てに暴走してしまっていた白蓮は急に声を掛けられ驚き、秋斗にギュッと抱きついて紅くなっているであろう顔を見られないようにしながら問い返した。

「えっとな……お前はここからどうしたい?」
「ど、どどどどうしたいとは!?」

 暴走した思考のせいで、今から事に及ぶのかと勘違いした白蓮はどもってしまい、抱きつく腕に力を込めてしまう。
 少し軋む腕に顔を引き攣らせながら秋斗は言葉が足りなかったと思い至って続ける。

「お前がこの軍でどうしたいかだよ」
「……そういう事か」

 ほっと息を付いた白蓮は思考が落ち着いてきたのか腕を緩めた。暴走した恥ずかしさから身体を離そうとはしなかったが。
 桃香の語った事を思い出して穏やかな表情に変わり、彼女はゆっくりと言葉を紡いだ。

「私は……桃香と一緒に大陸を救いたい。あいつの想いが大陸を包み込めば、私の家も取り戻せるからさ。無駄な争いを望む奴を止めて、侵略する者を追い返して、平和な世界を望む者と協力しあって、この乱世を終わらせる。その目標の為に私も力を貸したい。あいつの理想の世界……その土台を造る事に協力したいんだ」

 茫然。秋斗の思考は一寸だけ停止してしまった。後に思考が正常に回り出す。予測の立っている自分にしか分からない事なのだと気付いて。
 桃香も白蓮も徐州を守りきれると思っている。次の戦、その次の戦まで見えていない。最終的にこの大陸がどうなるかを予想出来たのは秋斗と思考共有をしてきた雛里だけであったのだから当然。
 朱里であれば既に見えているかもしれないがもうここには居らず、白蓮に教えてやれるものはいなかったのも一つ。この時代の大陸に於いて、先見の明がある存在はそれほど希少なのだ。誰も彼もが秋斗や雛里のように先の先まで見通して行動出来る訳がない。
 掲げるモノと戦略上、劉備軍が乱世
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