自称王と他称王
五話
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「ノーヴェ、アレクさんは見つかった?」
「いや、まだ見つかってない」
「……そっか」
早朝のランニング途中、立ち寄った公園でヴィヴィオはノーヴェに問い掛けるが、返ってきた答えに少し肩を落とす。
一昨日のスパーの後、アレクは目にも止まらぬ速さで消えて行った。そしてその後は、ノーヴェもアレクに会えないでいる。昨日、一昨日とアレクの部屋にティアナ等と共に行ってみたが、帰ってきた形跡は無いらしい。
ただ、直接通信こそ出来ていないが、メールの返答は全部ではないがあるという。
「一番新しいのは何て返ってきたの? 何処にいるか書いてあったの?」
「……暴風に飛ばされて風になりかけやした。もうちょっとで鳥に神化できるかも! だと。神化どころか鳥頭に退化したような内容だったよ。第一、神化じゃなくて進化だろうに」
「あははは、そうなんだ」
何をしてるか判らないが元気でいるのだろう。
だから悲痛することじゃないとヴィヴィオは思うが、一昨日スパーした後なので気になるし、話したいこともある。アレクの事や現状は勿論、同じくらいアインハルトとの間柄も知りたい。
一昨日、アレクに襲い掛かったアインハルトの様子は普通ではなかった。ノーヴェからアインハルトの事情を聞いたので、とりあえずの納得はしている。恐らく、自分が弱すぎたからアレクに固執している、と。
だが、何故アレクに固執するのかは、ノーヴェも教えてくれないので分からない。何か事情があるんだろうと聞かずにいるが、やはり気になってしまう。一応、アレクさんもまた誰かの血統だからかな、と何となく察しているとしても。
どうにか会えないかな、と考えて……閃いた。
「ねえノーヴェ。アレクさんが持ってるの、普通の通信端末なんだよね?」
「ああ、あいつはデバイス持ってなかったからな」
「じゃあ連絡先教えて。わたしからだったら通じると思うの! ね、クリス?」
「なるほど、確かにな」
任せろ、と胸を叩くクリスにノーヴェはアレクの連絡先を送る。
受け取り終わったクリスはすぐに繋ぎ……ガッツポーズをとった。直接通信接続成功、ということだろう。
そして表示されたウインドウを前に待つこと数秒。確実に半分以上寝ているアレクの顔が映った。
「アレクさん、お早うございます! ヴィヴィオです!」
『んあ? おはよう目覚まし……?』
「目覚ましじゃないですよ! 一昨日スパーしたヴィヴィオですよぉ!」
『お、おぅ? ……M女?』
「ほえ? えむじょ?」
「……まだ寝ぼけてるな」
ノーヴェは一応無事らしいアレクの姿に安堵する。ただ、あまりにいつも通りなので心配して損した気分になってしまったが。
次いで、ヴィヴィオの呼びかけで段々目覚めていくアレクに何か言ってやりたい気もす
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ