自称王と他称王
五話
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るが、自分は後とノーヴェは静観を決め込もうとする。が、アレクの指先が好からぬ方へ向かっていたので声を荒げてしまう。
「って、通信切ろうとするな!」
「あっ、待ってください! アレクさんにどうしても聞いてほしい事があるんです!」
『……どうしても?』
「はい、どうしてもです! お願いします、聞いてください」
ヴィヴィオの真剣な顔に、アレクは考えるように頭をガリガリ掻いてから「どうぞ」と項垂れながら端的に聞く胸を示した。
「あの、どうにかもう一度アインハルトさんと向き合って、ちゃんとした形で試合したいんです。わたしはまだまだ弱いけど、趣味と遊びでストライクアーツをやってるんじゃないんだって伝えたいんです」
『……同じガッコだし、普通に会って約束すればいいんじゃねえの?』
「でもヴィヴィオは目に入ってないというか、見向きもされない感じなんで……」
『だからアイツとの仲を俺に取り持ってもらいたい?』
「……はい。わたしが弱くてがっかりさせちゃったから、アレクさんに襲い掛かったと思うので……ダメでしょうか? もう一度、もう一度だけでいいんです!」
ヴィヴィオの必死で真っ直ぐな訴えにアレクは呻きながら悩む素振りを見せる。
そんな二人にノーヴェは後ろめたさを感じ少し影を落とした。ヴィヴィオとアインハルトを引き合わせたのは他ならぬ自分だからだ。
会えば何か変わるだろうと対面させた結果、アインハルトは確かに変わりはした。ただ、望む方ではなく、悪い方へ、だが。
今のアインハルトはアレクの事だけしか目が入らない。アレクの中に垣間見たらしい王を切望している。
そして、その為にとった行動は……アレクに伝えておかなければならない。
「……アレク、あたしからもお前に伝えなきゃならないことがある」
『へい? まだ暴風圏に戻れませんよ』
「そうじゃない。一昨日のスパーの後、お前の家に行ったんだが……その時アインハルトも付いてきたんだ」
『今度はアイツが物色したんすか?』
「……ああ。ベッドの下にあった武具の手甲らしきもんを持って行きやがった」
『はあ……はあ!?』
「悪い、あたし等のミスだ。家の中を見回るあたし等の隙をついて掠め取ったみたいだ」
『え〜……一応それっぽく察せるんですが、あえて訊きやす。あやつは、なして、そないなことを?』
「取り戻しにやってきた時に戦う為か、武具を装着させて戦う為、ってのがあたし達の見立てだ。昨日会った時も肌身離さず持っていたみたいだし」
『装着って、あれのサイズに合うまで何年掛かることやら……ってかアイツ、そこまで付き纏う気かっ!?』
盗難被害でも出すか、とアレクは一瞬考えるが、出せば説明の為に自身も出頭しなければならないし、その時に顔を合わせて余計に拗れて面倒になる気
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