第3章 聖剣の影で蠢くもの
第26話 誇り高き狼
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とも、赤龍帝は、あれが普通なのだろうか」
「うう、ショックだわ。長い間鍛錬を積み上げて、聖剣に選ばれたのに」
「彼も努力したからね。正直、ボクも驚いている。戦闘になると、日頃の変態ぶりが、ウソみたいに切り替わるのだからね。戦闘モードの彼は、もはや別人といっていいだろう」
アーシア救出作戦で、ドライグと対話し、力を引き出して見せた。
あそこが、兵頭一誠の分岐点だったのだと、今ならわかる。
(偽物のアーシアが無残に殺された姿。あの光景が、トラウマになったのだろうな。原作の彼と比べれば、信じられないほど真剣に実力を身につけようとしている)
木場祐斗と兵頭一誠との戦いで、彼らの力量を認めた彼女たちは、素直に非礼を詫びた。
だが、戦闘の後が、問題だった。
なんと、木場祐斗は、敗北した彼女たちに近寄り、聖剣をへし折ったのだから。
おかげで、鉄くずになった聖剣は、使用不可能な状態になっている。
(使い手として授かった聖剣を破壊された――たしかに、へそを曲げても仕方ないか)
当然、大問題になった。
上の方が協議したうえで、奪われた聖剣3本を取り返すことを条件に、互いが協力することになった。
破片さえあればよいらしく、聖剣の破壊自体はあまり問題にならなかったらしい。
『おまえのせいで、派遣した聖剣使いが使い物にならなくなった。だから、奪われた3本を取り戻せ』
非常に単純な取引である。
たとえ、2本の聖剣が破壊されようと、残りの3本の聖剣を取り逃がす方が、よほど問題だったようだ。
2本の聖剣を破壊し、さらにあと3本の破壊許可を得た木場祐斗は、張り切るどころか、冷静だった。
おのれの実力に自信をもてたことで、却って冷静になれたのだろう。
慢心はシグナムによって、捨てさせられた――鍛練でボコボコにするという形でだが。
(いずれにせよ、主犯は、堕天使陣営の幹部コカビエル、か。聖書にも記されるほどの強力な敵。戦力調査にはもってこいの相手だ――リアス・グレモリーには悪いが、獲物はとらせてもらうよ)
――――このときボクは、コカビエルで新技を試す予定でうきうきしていた。
◆
「あ、ザッフィーだ!」
少女が笑顔を浮かべながら、さわりに来る。
いま、シグナムと散歩している。
大型犬扱いの私は、たいてい狼形態――主曰くわんこモード――でいることが多い。
主が狼の姿を気に入っているのもあるが、女所帯に男が一人紛れ込むことを防ぐ意味もある。
犬を飼っているのに散歩をさせないのは奇妙に思われるだろうから、こうして定期的に外出しているのだ。
「もふもふー」
乱暴に撫でられる。
普
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