第V章 遠山の血
第016弾 「遠山」
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2005年 5月 12歳
一日の授業の半分が終わった昼休み、俺はいつも通りキンジと昼食をとっていた。
その最中、キンジは何か思いついたのかふと顔を上げこちらを見た。
「なあ、鋼也。今日暇か?」
「おー、今日は特に予定は無いな。ゲーセンでも行くか?」
「いや、今日、家に来ないか?爺ちゃん達に鋼也の話しをしたら会いたがってさ」
キンジは恥ずかしいそうに頬をポリポリ掻きつつそう言う。
「んー、いいぜ−」
俺はキンジの誘いに肯き、いつもものどうでもいい会話を再開した。
☆★☆★
全ての授業が終わり。俺は今現在、キンジとの約束通り遠山家に向かっている。
ん−、なんか遠山家に行く事が憚られるんだよな−。何でだろ?
そんなどうでもいい事を考えつつキンジと、喋っていると遠山家の前に着いた。
「おーここが、キンジ家かー」
転生前。両親と3人で住んでいた自分の家と似た遠山家を、感慨に浸りながら見ていると、キンジが急かす様に声をかけてくる。
「鋼也。外で眺めてないで家に中入れよ」
「おう、今行く−」
キンジの声に生返事で答え、遠山家の中に入る。
「爺ちゃんただいま−」
キンジが玄関で中に向かって声をかけるが返事は一向に戻ってこない。
キンジは身内のだらしなさを恥じる様に声のト−ンを落とし言う。
「すまんな、鋼也。爺ちゃんどっかに出かけてるみたいだ」
「別にいいぞ?、それよりもスマブラやろ−ぜ」
キンジはその言葉で、俺が気にしていないのをくみ取ったのか、急に笑顔になりゲーム機を自分の部屋に取に行った。
”キンジは扱いやすくて助かるな−”と大分失礼な事を、自分のメイドと比較しながら考えていると、手にゲ−ム機器を抱えたキンジが戻って来た。
「さ、やろ−ぜ。」
キンジが満面の笑みを浮かべながら誘いをかけてきたが・・・・正直、キモイ。
☆★☆★
キンジの誘いにホイホイ乗り、スマブラで対戦をしていると、玄関の方から複数の足音が聞こえた。
「ん?、爺ちゃん達帰って来たのか?」
キンジが首を傾げ、俺に聞く。俺も気になるので足音により注意深く耳を傾けてみると比較的軽い足音が二つ聞こえた。
「多分な、足音が二人分だし」
キンジは”そうか−”と納得し、質問のために休めていた手をまた、ゲ−ムのために動かし始めた。
俺とキンジがゲームを再開すると、襖が開き二人の老人が入って来た。
「金次−。今、帰ったよ」
「おぉ、ついに金次が友達を連れて来るようになったかぁ」
老人達は、キンジと俺の顔を嬉しそうに見ながら口々にそう言う。ん?今、男性の方の眼が蒼く染まらなかったか?ま、いいや、それよりキンジ。俺以
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