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少年と女神の物語
第五十三話
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真面目な人で冗談なんて言わないだろうことは、この時点で分かっていた。
 だから、その意味がそのままだって理解して・・・戸惑った。

「・・・しっかりと話さないと、ダメだよな」

 そんな俺を見て、父さんは話してくれた。

 母さんが母だった人と昔からの知り合いで、そのつながりで俺の現状を知ったこと。
 父さんと母さんが・・・神代家が、ある基準にいたる子供を引き取ったり、拾ったりしていること。
 この世界には、魔術というものがあること。

 普通なら、急に魔術がどうだのと言われて、信じることはないだろう。
 でも、俺はなぜかすんなりと受け入れた。
 父さんのことを、あの短時間で信頼していたのかもしれない。
 ぜんぜん世界のことを知らなかったから、そんなものなのか、と受け入れたのかもしれない。
 なんにせよ、俺は受け入れた。

 で、俺はある基準の片方・・・魔術の才に優れていたらしい。
 それこそ、そのことを知ったらいろいろな組織が手を出してくるレベルに。
 これまでにそんなそぶりがなかったのは、ただ単にその可能性を考えていなかったそうだ。
 父さんと母さん以外は、そんな可能性があることをつゆほども考えていなかった。

「もう一つの、基準というのは?」
「あー・・・その、だな。またいつか、教えるよ」

 その時は、はぐらかされてしまった。
 まあ、今考えてみれば、その時話さなかったのは正しいと思うけど。
 あんな条件、子供に話しても何にもならん。

 で、そこまで全部、父さんは事情を話してくれた。
 子供相手なのに、ごまかさずに、真剣に。
 もう一つの基準以外は、何一つ隠さずに。

 その上で、俺に聞いてきた。
 『俺たちの家族にならないか?』って。

 俺が悩んでいたら、母さんが飛び込んできた。
 父さんが俺を残して出て行くな、って言ったら、母さんは笑いながらゴメンゴメン、って言ってた。
 その手には、何かの資料があった。

「・・・で?その紙はなんだ?」
「ああ、これ?新しい家族を向かいいれるための資料」

 いつの間に俺が行くことが決定してたんだろうな。
 そこには、確かに記入すれば俺が養子として神代家に入る、資料が握られていた。

 行動の早さに呆れてた父さんと、そんなこと気にもせずに笑ってた母さん。
 その二人を見て、この二人なら大丈夫、そう思った俺は・・・

「・・・ぼくを、家族にしてください」

 小声で、ぼそっとつぶやいた。
 聞こえてないかな、って顔を上げたら、さっきまで言い争ってた両親は、こっちをみて微笑んで・・・

「「ようこそ。神代家へ」」

 そう、言ってくれたよ



◇◆◇◆◇



「と、それが俺の始まり
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