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少年と女神の物語
第五十三話
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 最初のころは、子供心にダメだと思っていたのだろう。
 俺より五つは上だったから、それくらいの事は分かっていたと思う。
 でも、長くは続かなかった。
 ある日、つい手が出たって感じで初めて暴力を振るわれてから・・・頻繁に、暴力が振るわれた。

 何か学校でいやなことがあったのか、ランドセルを背負ったまま来て、蹴られた。
 そのまま繰り返し振るわれて、気が済んだのか出て行った。
 死なない程度で毎回止められてはいたけど、それでも辛かった。

 監禁場所の倉庫の中に、自由はなかった。
 柱から伸びた鎖は俺の手の手錠に?がっていて、行動範囲は決められていた。
 たまに服を変えるために外されても、一歩も動くことは許されなかった。
 その場で着替えて、またすぐに?がれた。
 逃げようとしたら何をされるか、予想はついていたからそんなことはしなかった。
 服を変えたのは、たまに干してでもいないと、近所から疑われたからだろう。
 そんな事をしてもしなくても、変な目で見られてはいただろうけど。

 食事は、あったかい方が美味しいものなら冷め切った。
 さめた状態で食べるものは熱々になって、手の届かないところに置かれた。
 どうにか体を伸ばして、口が届くような位置だ。
 一度近くに寄せようとしたら、食事を抜かれた。
 それからは、プライドを捨てて犬みたいに食べた。
 何も食べなければ死ぬ。
 だから、必死になって食べた。
 どれだけ笑われても、床にこぼされても、食べた。

 寝具は、一通りそろえてあった。
 風をひかれては困ったのだろう。
 だから、深夜に誰かが来て寝具を手の届くところにおいてから朝起こされるまでの時間。
 その間だけは、一日の中で安心して暮らせる時間だった。

 風呂には、入ったことがなかった。
 たまに濡れた、凍えそうに冷たいタオルを渡されて、それで体を拭いた。

 トイレは、犬用のものが置いてあった。
 それと、紙も。
 それで、どうにか暮らしていた。

 そんな生活を、ずっと。
 そのまま、俺を置いて二泊三日の旅行に、三人が出かけるまでは。

 ここからは、後から聞いた話だ。

 その旅行で、二日目に三人の乗った車は交通事故を起こした。
 誰も巻き込まず、一台崖から落ちていった。
 発見されたときには、既に三人とも死んでいたらしい。
 人通りが少ない道だったために、発見が遅れたんだとか。

 そして、そんなことがあったから当然、警察によって調べられた。
 ある刑事さんが、その調査の際に気づいたらしい。
 一人、足りない、と。
 上司に言った際には、誰かに預けているのだろう。
 放って置け。
 そういわれたが、その人は調べてくれた。

 ま
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