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少年と女神の物語
第五十三話
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てくれたほうがいいんだけどな・・・そうすれば、気にせず殺すだけだし」

 三バカが騒いでいるおかげで、俺の周りには人がいない。
 入り口に大量に転がっている靴をそろえたりしながら、何の問題もなく口に出して考えることが出来る。

「・・・・・・ま、どうせわからねえし、いいか」

 結局、いつもこの結論に達して終わる。
 護堂みたいに勝つために必須なら、準備の過程としてやるんだろうけど・・・正直、ないと使えない権能はシヴァとプロメテウスくらいだし。
 ゼウスが使えないとなると困るけど、そうじゃないならそこまで気にはならない。

「とか、そんな事を考えてる間に、何があったんだ・・・」

 気がつけば、マットの下敷きになっていた。
 しかも、用具質の中。

「って、武双は何も気づいてなかったのかよ・・・」
「ああ。ちょっと考え事してたからな」
「いや、だとしても気付くだろ、普通・・・」
「俺、命の危機でもないと気にしないみたいだ」

 ちなみに、俺と護堂が話している横にはボロボロになったマットがあるのだが・・・ま、気にしなくていいだろう。
 寿命だったんだ、うん。

「いや、目を逸らすなよ・・・」
「いいんだよ。生徒会権限でどうにかするか、カンピオーネ権限でどうにかするから。原因であるあいつらに弁償させる手段もあるな」

 まあ、マットくらいならどうとでもなる。
 今日はもう体育もないし、明日までに補充しとけばいいんだから。

「はぁ、ま、護堂がいたのは助かった。サンキューな」
「なにがだよ?まさか、何か非常識なことをやる気じゃぁ・・・」

 そう言いながら、護堂は鍵のかかった入り口を見ている。

「いやいや、そうじゃない。壊すくらいなら、俺一人で出来るし」
「それもどうかと思うが・・・じゃあ、なんでだ?」

 さて、話していいものか・・・ま、いいか。
 一人くらい、男友達が知っててくれたほうが助かるだろうし。

「いや〜。俺、閉所恐怖症だからさ。こういう閉鎖空間、ダメなんだよ。トイレとか風呂みたいな場所なら大丈夫なんだけどな」
「あ、そうなのか・・・つまり、俺がいなかったら・・・」
「間違いなく、錯乱してただろうな。窓も開いてないし、入り口もしまってるから」

 どこかに一つでも外と?がっているというのが分かりやすく見えれば、問題はないんだけど。

「間違いなく、権能を使いまくってもいたな」
「待て。それは冗談にならないぞ」

 冗談じゃないし。

「俺は、全力を持って狭い空間から出ようとする。だから、権能も間違いなく使うよ」
「あんな雷をこんなところで落とされたら、しゃれにならないぞ・・・」
「生徒も、かなりの量が死んでただろうな。ホント助かった」


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