As 10 「パートナー」
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瞼を上げるとの同時に目が眩んだ。
反射的に瞼を下ろした俺は、すぐに自分が仰向けで寝ていることを理解する。次の思考は、なぜ自分がこの場で寝ているのかについて。
確か……夜にシグナムと……。それで……
諦めそうになったときにかけられたファラの言葉。目の前で砕け散った漆黒の刃。辛そうな表情を浮かべていたシグナム。それらが意識の覚醒と同時にフラッシュバックする。
「――ファラ! ……ぅ」
起き上がる途中で鈍い痛みと急激な脱力感に襲われた。そこから起き上がることはおろか、体勢を維持することもできなかった俺は後方へと倒れ始める。多少の衝撃を覚悟したものの、倒れ始めた直後に誰かに身体を支えられた。
「……シュテル?」
顔を横に向けると、目の前に彼女の顔が映った。
普段と違って白衣を身に纏っている……いや、こちらが彼女の正装だ。長い間彼女の私服姿ばかり見ていたせいで、逆転してしまっていたようだ。
シュテルは状況を正確に把握できていない俺が面白いのか、ほんの少しだが口角が上がっている。
シュテルはゆっくりと俺の身体を倒していく。身体の状態や彼女の対応からシグナムとの戦闘でそれなりに負傷した。そして今に至っているのだと理解した俺は、抵抗することなくベッドに横になった。
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ……ここは?」
「治療室ですが……もしかして気を失う前の記憶が飛んでるのですか?」
「いや飛んでない」
「そうですか……」
何で少し残念そうなのだろうか。一般的に心配される場面だと思うのだが。
シュテルに気を遣わせてるのではないかと心配したが、彼女は普段と変わらないようだ。親しくしていた身として思うところがあるが、いつもどおりな姿に安心する自分もいる。
「……ファラは?」
「自分の容態よりも彼女ですか……少し妬けますね」
「お前ってよくさらっと心にもないこと言えるよな」
「あなたもよくさらっと冷たい返しができるものですね。私の心は意外と打たれ弱いのですよ」
傷ついてる人間は笑みなんか浮かべないだろ。
そんな風に言い返しそうになったがやめる。シュテルはいつもどおりに振舞ってくれているが、きっと俺が気を失っている間は心配していたはずだ。心配が安心に変わったから、今こうして笑みを浮かべているのだろう。
笑っているということは、ファラの破損もそこまでひどくはないのだろう。だが長い間一緒に過ごして、戦闘での破損は今回が初めて。胸の中から心配が消えることはない。
ふと意識をシュテルに戻すと、まるでこちらの考えを読んだように微笑みかけてくる。
「ファラなら大丈夫ですよ」
「……そっか」
「……私の言葉では信用してもらえないのですね」
シュテルは表情ひとつ変えずにしょんぼ
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