As 10 「パートナー」
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ことでも一緒にすることによって思い出になり、幸せに感じるのだということを改めて知りました」
先ほど友達の話をしているときのような幸せな笑みを浮かべながら話すシュテルを見て、胸の中には温かな感情が溢れてきた。もちろん同じぐらい恥ずかしいという感情も湧いてきている。
「もしかすると、あなたは私の友と同じ――いえそれ以上に大切な存在かもしれませんね」
優しげに微笑んだシュテルを見た俺の羞恥心は最大のものになってしまい、彼女から顔を背けた。普通に動ける状態だったならば、この場から立ち去っていたかもしれない。
「それに、私はショウがどういう人間か多少は知っています。ファラのことを大切に思っているあなたは、普通ならフルドライブを実戦で使うことはないでしょう。ですが今回は使った。彼女が破損してでも、自分の身が傷ついても貫きたい強い想いがあったのでしょう?」
「……あ、ああ」
「なら、それを応援したいと思うのは普通ではないですか? 私はあなたのパートナーなのですから」
シュテルはもう一度優しく微笑むと、「長話は身体に響くでしょうからこのへんで……」と言って踵を返した。だが彼女は俺と扉の中間辺りまで歩くと、首だけであるが再びこちらを振り返る。
「ショウ、ひとつ聞きます。あなたの中にある想いは折れてしまいましたか?」
俺の中にある想い……はやてを助けたい。シグナム達を止めたいという想いのことだろう。
俺はシグナムに負けた……全力を出したけど届かなかった。ファラも傷つけてしまった……でも彼女は俺を責めたりしないだろう。また自分を責めることを許さないはずだ。
ファラが完全に破壊されていたのならば、はやてやシグナム達への想いは折れていたかもしれない。でも俺もファラも生きてる。ファラも修理が終われば、シュテルのような問いをしてくるはずだ。
今までにあった出来事は、もう後悔することしかできない。でも今回は、俺の努力次第ではまだ間に合うかもしれない。このまま何もせずに最後を迎えるのはご免だ。可能性がある限り、俺は諦めたくない。
「……いや、折れてない」
「そうですか……なら最後まで諦めずに貫いてください。そのために必要なあなたの剣は、私が責任を持って直します」
迷いのないシュテルの瞳に安心感を覚えた。
何気ないことで感じていなかったが、冷静に思い返せばシュテルはいつも俺を支えてきてくれた。彼女は俺にとって、はやてにも負けない大切な存在だと言えるかもしれない。
「……ありがとうシュテル」
「礼には及びません。パートナーですから」
「そっか……良いパートナーを持てて幸せだよ」
「……そういう返しは想像してませんでした」
「ん、何か言ったか?」
「いえ、何でもありません。こちらの作業が終わるまで
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