暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
As 10 「パートナー」
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かし、高町とは性格が一周近く違って基本的に合理性を考える奴だ。普通に考えれば、俺に知っていることを白状するように言うはず。それなのにそこに話題を持っていく意思がほとんど見えない。いったい彼女は何を考えているのだろうか。

「そうですね。話を戻しましょう」
「あ、あぁ……」
「そう気落ちしないで大丈夫ですよ。あの少女のことは誰にも言うつもりはありませんから」

 穏やかな口調で言われたものの、彼女が何を言ったのか理解するのが遅れてしまった。
 シュテルは本当に何を考えているんだ。バレてしまったとき、傍にいたのに分からなかったのかと責められて罰せられる。黙っていても何のメリットもない。普通は迷うことなく俺やはやてのことを報告するほうを選ぶはずだ。

「そんな顔をされると傷つきますね」
「いや、だって……」
「ええ、まあ……確かに以前の私ならあなたの考えているようにしていたでしょう。正直に言えば、私自身も少し驚いています」

 シュテルはそこで一旦口を閉じて、先ほどまで座っていたイスに座り直した。寝た状態のまま話を聞くのも嫌だった俺は、先ほどとは違って腕も使ってゆっくりと起き上がる。
 寝てなさいといった視線を浴びるが、俺は首を横に振った。しばらく見詰め合った後、シュテルはため息をつく。どうやらこちらが寝そうにないので、早く話を終わらせようと折れてくれたようだ。

「……少し昔の話をしましょう。私は昔はさっぱり人に懐かない本の虫で、ほとんど人と話すことはなく外にも出ませんでした。別に家族や他人と接するのが嫌というわけでもなかったのですが、知識を仕入れることが楽しかったもので夢中になってしまったんです」

 両親も手を焼いていたと続けるシュテルに、理解していたのならもっと対応してあげてもよかっただろうに、と思う俺はおかしくないだろう。そんな風に思う一方で、彼女らしいと思ってしまっているのだが。
 シュテルは家にある本をほとんど読んだはずだし、地球でも興味を持った本を買っている。彼女の部屋に何度か入ったことがあるが、入る度に本が増えているように感じる。未だに彼女は本の虫だろう。まあ人と話さないということはないが。

「そんな私を、前に話したことがある友人のひとり――ディアーチェと言うのですが、彼女が無理やり外へと連れ出してくれたんです。自分と一緒に来い、そのほうが本よりもよほど生きた知識と経験が手に入ると言って」
「……ちょっと聞きたいんだが、その子っていくつ?」
「同い年ですが?」

 それが何か? といった視線を向けてきたシュテルに俺は何でもないと首を横に振るだけだった。だが胸中では思うことがあったのは事実。
 シュテルの小さい頃はまだ理解できる。人と話そうとしないこと以外は特に変わっていないから。でもシュテルの
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