As 10 「パートナー」
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りするが、おそらく並みの相手では彼女が落ち込んでいることすら分からないだろう。まあ俺もしょんぼりしているような雰囲気を感じているだけで、彼女の本心が分かるわけでもないのだが。
「別に疑ってはいないよ……ただ、ファラとはずっと一緒だったから」
ファラと過ごしてきた日々、それは俺にとって当たり前のものになりつつあった。だが当たり前だったものが突然壊れることはある。過去の出来事からも明らかなことだ。
……いや、過去とは決定的に違うことがある。
今回ファラが破損した理由の中には、俺がフルドライブを使用したことが上げられるはずだ。無論使わなかった場合、あそこまでシグナムに食らいつくことはできずに負けていただろう。ファラが今と同じ状態、またはひどかった可能性は充分にある。
結果的に良かったとも考えられる……が、今回ファラの破損の最大の原因は俺の弱さ。
魔導師としてもっと強かったならば、ファラを破損させることもなかった。シグナムに俺を傷つけさせることもなく、彼女を説得してはやての傍に向かわせることが出来ていたはずだ。
「……いつだって何かを望むのは事が起きた後。こうしておけばよかったって後悔してばかり……俺は無力だ」
気が付けば、ポツリと弱音を吐いていた。人の前で弱音を吐くなんてこれまでになかったというのに。それだけ心配や悔しさ、自分の無力さで心が参っているのだろうか。
思わず泣きそうになってしまった俺は、目元を隠すように片腕を被せた。普段の俺ならば、こんな状態を人に見せようとはしない。たとえそれが家族同然の人間だったとしても……。
ふと――手の平に温かさと重みを感じた。
傍にいたのはシュテルのみ。そのことから重ねられているものは彼女の手だと判断した。今の状態を変えずに返事を返そうとした直前、彼女が先に話し始めた。
「あまり自分を責めるものではありません。責めたところで現状は変わらないのですから」
「……厳しいな。俺は……お前が思ってるほど強くないんだけど」
「分かっていますよ」
優しく返された言葉に、俺は腕を退けてシュテルを視界に収めた。彼女は俺の傍に座ると、手の平を頭の方に移す。
「……ぇ」
最初は何をされているのか理解できなかったが、彼女に頭を撫でられているのだと分かった。それと同時に恥ずかしさのようなむず痒い感情が湧いてくる。顔も熱くなっているため、赤くなっていてもおかしくない。
何かしら言おうとするのだが、シュテルの突然の行動に戸惑ってしまって上手くしゃべることができない。そんな俺に対して、彼女は頭を撫で続けながら話し始める。
「あなたは何でもひとりでやろうとする。育った環境を考えれば仕方がないことですが、それはある意味あなたの弱さです。今回の件は、あなた独りの手に
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