MR編
百三十四話 神速の剣戟
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いてたくせに」
「うぐ……」
呆れたように肩をすくめながらそう言ったリョウの言葉で、キリトは肩を落として頭を掻く。
「いや、まぁ絶剣は多分、腕試し意外にも何か目的が合ってあんな事をしてるんだろう……っては思ってはいたからさ」
「で、彼奴の探し物はアスナだったってわけか……」
腕を組んでふんっ。と息を吐きながら言うと、キリトは苦笑しながら答える。
「みたいだな。何となく、予感はあったんだけど……」
「ほほう。お前に勘で負けるとは……流石は夫」
「いや勝ち負けじゃないだろこれは……ってか夫って……」
前半呆れ混じり、後半頬を掻きながら言ったキリトに、リョウはニヤリと笑いながら裏拳で胸をポンポンとと叩く。
「今更照れてどーすんだよ。大事にしろよ〜?」
「分かってるさ……ったくてか兄貴、最近オヤジっぽくなってるぞ」
「割と元からだったりするんだがな」
精一杯のいやみも、はっはっは。と笑われて一蹴され、キリトは深めに溜息を吐く。と、不意に、少し思い出したようにキリトは空中に視線の走らせた。若干迷ったような表情をした後、コホン、と咳払いを一つ。
いぶかしげな表情で自分の事を見た従兄に、あー、と前置きしてから言葉を発する。
「……そう、言えば、兄貴」
「なんだお前、行き成りコホンだのあー、だの」
「う……」
出来れば突っ込まないで欲しい部分に何故突っ込むのだろうこの男は……吐きかけた溜息を何とか抑え込み、緊張した様子のまま、キリトは歯切れ悪く言った。
「いや、その……昨日の、さ……」
「あ?」
そんなキリトに、リョウは流石に首を傾げ、眉根を寄せて聞き返す。
しかしそこで数秒間キリトは沈黙して考え込むと、今度は一転して笑いながら返した。
「あー、いや。やっぱ何でも無い。忘れてくれ」
「…………」
そう言われるとますます気になる。と言うかまぁ……何をキリトが聞こうとしたのか、リョウは手前の台詞で分かった気がした。
「……成程、電話か?」
「う……」
「っはは。気付いてたか」
「……まぁ、ちょっとレシピ聞くにしては長いような気がしたからさ。やっぱり……何か有ったのか?」
「んー……」
話すべきか否かをリョウが悩むように唸った。特に多くを知って居る訳では無いとは言え、泣いて居たと言うキリトにとっては重大な事実を、果たして本人が望んでいないにも関わらず言って良い物か……しかし其処でキリトは不意に少し大きめの声ではっきりと言った。
「……いや!やっぱ良い!」
「ん?」
「アスナが話さない事を、俺が横から聞くってのは……やっぱりちょっとな」
「……ほう」
キリトのその言葉に、リョウは感心したように小さく言葉を漏らす。
「お前、結構そう言う気遣い出来んのな。気になるんだ
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