MR編
百三十四話 神速の剣戟
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に弾かれる。さて……」
言っている内にもアスナと絶剣は凄まじいスピードで撃ちあって居る。素のスピードで撃ちあって居る筈なのに、最早各々の剣の軌道は霞んで見え、突きと斬撃は甲高い音をひびかせながら撃ち合う。シリカなどは……
「うぅ……ど、どう振ってるのか見えないです……」
「あはは……すごいね、二人とも」
実際、サチの言う通り、二人の戦いは常人の域を遥かに超える物であると言えた。アスナの高速にして正確無比な連続突きを次々いなし、躱す絶剣も本当に大したものだが、その絶剣が返してくる雷光のごとき疾さの斬撃を、相手の身体全体の動きをみる事で先読みして反応するアスナもアスナである。流石にSAO時代からの二つ名持ちなだけはあると言う物だ。
互いの剣が偶発的に相手に化する程度のダメージを与え、じりじりと微量ずつお互いのHPが減って行く。しかしこのままではじり貧なのは見えている。
『さーて、どうする?』
「…………」
ニヤリと笑いながらリョウと真剣な表情のキリトが様子を見ていると、不意にアスナが大きく踏み込んだ。それこそ殆どゼロ距離。仮に相手の動きを先読みしたとしても、ステップ回避は絶対に間に合わない距離だ。そのままの勢いで、アスナが右手のレイピアを一気に突き込もうと構える。当然絶剣は反応し、それを弾く為に剣を切り上げ──る寸前、アスナが突き込む一歩手前でレイピアを引き戻し、代わりにフリーになって居たアスナの左手にライトエフェクトが灯り、その拳で絶剣の胸部をぶん殴った。
「おぉ」
「成程」
驚いたように、それでいて感心したように、リョウとキリトが同時に声を上げた。絶剣は基本的に非常にストレート、かつ単純な攻撃を好む。
その剣速故に誰もが対応しきれず押し切られてしまう故に余り気が付かれていないが、彼女は基本的に対人戦の上級者が殆ど必ずと言っていいほど行うフェイントや牽制と言った動作をほぼ行わず、単純な弾きと回避、攻撃の動作のみで勝利を収めて来た。勿論其れは凄まじい事では有るのだが、同時にそれ自体が彼女自身の対人戦の戦闘経験がそれ程多くない事を示しているようにも思われた。故に、アスナはここにきて、出の早い打撃攻撃による奇襲を試みたのだろう。
「ッ!?」
ヒットの直後、絶剣の瞳が驚きに丸くなるのが、リョウからもキリトからも見えた。当然、アスナにも見えているだろう。そしてそれは、彼女にこれが有効打である事を伝える。
この世界における一般的な対人戦の上級者で有れば当然想定しておく筈の剣対剣の近接戦闘における唐突な格闘技による奇襲と言う手段が、彼女の頭には一切ない故に、唯の牽制から、完全な奇襲と言う形に変わるのだ。
そして経った今出来たこの瞬間こそが、アスナがSSを撃ちこむ最初で最後のチャンス……
「ハァっ!!」
レイピアが朱
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