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SAO─戦士達の物語
MR編
百三十四話 神速の剣戟
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いのだろうと信じて、アスナは小さく頷いた。
と、不意に彼等の後ろに、聞きなれた降下音と着地音が響く。どうやら仲間達が来たらしい。

「よっ、お二人さんお取り込み中?」
「兄貴?」
「まったく、アンタ達少し目ェ離すとすぐこれなんだから!」
「り、リズ!」
そんな事を言いながらつかつかと歩み寄って来るリズに、アスナは慌ててキリトから身体を離すと苦笑しつつも何とかリズをなだめる。そんな二人を眺める横で、リョウがキリトに聞いた。

「何話してたんだ?」
「ん、いや……絶剣の事色々、さ」
「あー、なんだ、話したのか?」
リョウが聞くと、キリトは苦笑しながら肩をすくめて首を横に振った。

「いや。アスナに先入観持たせないで話す自身が無くてさ」
「なんだよ?なんか不味いのか?」
「いや。俺の個人的な考え方だけど……あくまで俺達の思ってる通りならさ、彼女は少し特殊な境遇って言うか、立ち位置に居る訳だろ?」
「成程。そう言う相手と接するにゃ自分で、か。ま、良いんじゃねーの?」
ニヤリと笑って言うと、キリトは頬を掻いて言う。

「まぁ、ホントに俺の個人的な考えだけどな」
「忠告なんてそんなもんだ。其れが正しかったかは結果が決めんのさ」
「兄貴はどっしりしてるから良いけどなぁ」
「なんだ、俺は無神経ってか?」
「そう言う訳じゃないけどさ」
苦笑しながら言うキリトに、リョウは楽しげに笑う。そんな事をしている内に、リズとアスナはそろそろ行くと手招きを始めていた。

────

島の中心部に有る大きな木の根元には、既に沢山の人だかりが出来ていた。まだデュエルの様子は見えないが、波のように時に大きく響く歓声が、既に其れが始まっている事を知らせてくれる。と、不意に人だかりの視線が向いて居た先。木の上から「うわぁぁぁ!」という声を尾に引いて、ドスーン!と1人の男が落ちて来た。

どうやらサラマンダーだ。背は高く、武器は大剣。確か以前種族混合のデュエル大会で其れなりに良い所まで行った男だった気がする。しばらくの間、男は大の字になって唸っていたが、やがて上体を起こし、ふらつきながらもホールドアップするように両手を上げると、大声で言った。

「あー、参った!降参!リザイン!」
男の声と同時に、男の言葉がリザインメッセージとして認識され、デュエル終了のファンファーレが鳴り響く。その瞬間周囲から感嘆の声と共に、ぼやきとも取れる声が漏れる。
どうやら連勝に連勝を重ねて今は67勝目だそうだ。今一ピンとこないと言う読者の諸君は、格ゲーを思い出して欲しい。ゲーセンの格ゲーを、初心者で67連勝をしている人物がいるとなれば、殆どの人はそれがすごい事であると分かるはずだ。
それも……今地上へとくるくると降りて来る、小さな少女ともなれば尚更だ。

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