7:霧払いの令嬢
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いる。感情表現がやや過剰設定のSAOでは、今にも彼の背後にキラキラエフェクトが出て来んばかりだ。
「さぁ、是非とも私にも、ラブコメディのささやかなワンシーンを提供してくれたまえ!」
「あんたには死んでもしてあげないからね」
「あ、あんまりだよっ!?」
そして一転、ガーンという効果音が出て来ないのが不思議な程のショックを受けている。あんたはテレビのバラエティ芸人か。
「あはは……肘突っつかれないだけで、そんなショックな事なのかなー……?」
「じゃ、じゃあアスナ君! 君だけでもいいっ、私にもさっきのようなやり取りをだね……!」
「さっきからうっせーぞナンパ野郎! ……それじゃあオレは、そろそろ宿に行って準備をしてくるぜ。いつから狩りに出る?」
デイドが蛇矛を担ぎ直し、町の方向へ向いた。ハーラインの方から「私の名前……」と呟きが聞こえてくるが、きっと気のせいだろう。
「そうだな……」
俺は少し逡巡した後、皆に言った。
「早い奴らはもう狩りに出ているんだったな。でも、この森もかなり広くて複雑だ。恐らく一日ぐらいじゃターゲットは見つからないだろう。だから今日のところは一番槍は彼らに譲るとして、その代わり俺達は彼らを噛ませ犬に利用させて貰おう。今が朝の十時過ぎだから、恐らく彼らは昼過ぎには一度帰ってくるだろう。この周辺にはこの村以外には休息施設が無いからな。俺達は昼食休憩を挟んだ二時から夜までの間に行動しよう。だから、二時に宿屋前に集合だ。そして、彼らが出発した方向とは別方向に出発して探索していこう」
「ちょっと待ってくれたまえ」
と、ここで急に表情をリセットしたハーラインが手を上げる。
「どうした?」
「君達はまだここに着たばかりだから知らないんだろうけど、この村には二つ宿屋があるんだよ。どちらに集合すればいいんだい? それと……返答次第では、集合場所を変更して欲しいのだが……」
「何よ、話の腰折っちゃってさ。しかも場所を変更って、なんでまた……」
リズベットがげんなりした風に聞くと、彼もまた真似をするように肩を落とした。
「いや……君達に会う少し前に、片方の宿屋に寄ったのだがね。扉を開けてオーナーに向かって挨拶した途端……いきなり顔面に強烈な衝撃が走って、気が付いたら店の外に吹き飛ばされていたのだよ! 多分、オーナーに何かの武器で顔を殴られたんだと思うのだが……」
「はぁっ? あんた、いよいよNPCにまで嫌われるようになったの? もう筋金入りの変態ね」
「違うがね! ……そこはNPCが運営するのとは違って、プレイヤーが運営する宿屋だったのだよ。もう一つのNPCが運営する一般的な宿よりも良い作りの宿屋だったからね。行きはよいよい入ったまでは
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