7:霧払いの令嬢
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ドだけでも剥ぎ取って、そのツラぶん殴ってやろうか……!!」
「よせ、デイド」
駆け寄り、彼の肩を掴む。その血走りかけている金壷眼がギラッと俺を射抜いた。
「なんだよ、テメーはなんとも思わねーのかよ! オレは不愉快だ! テメーに疑われるのも、コイツの態度もな!」
「とにかく落ち着け。俺としても、ぶしつけながらもそいつが何も教えてくれなかった点については、少なからず残念に思っている」
「だったらよ……!」
「――だから、俺が今、最も死神じゃないかと疑っているのは……あんたが掴んでるそいつなんだよ」
「…………!」
息を呑んだデイドの目が見開かれる。同時に袖を掴んでいた手が緩み、麻のフードがそのまま数歩後ずさった。
「あんたは容疑を晴らしたいんだろう? なら少なくとも、今はこれで不満は無いんじゃないのか?」
それからデイドは数秒沈黙していたが、やがてニヤリと口の端を歪め、そこから小さな笑いが漏れ始めた。そして麻のフードを睨む。
「……ハハッ、そうか。いや、満足だ。クハハッ……そうさ。どーせ、テメェが死神なんだろ? とっととボロ出して捕まっちまえ。そして、このオレに楯突いたのをブタ箱の中で延々と悔やみやがれってんだ。クククッ……」
デイドは目を見開いたまま不気味に笑っている。穏やかじゃないが、ひとまず彼の視線の矛先を変えるべく、俺は肩に置いた手をポン、と叩いた後に容疑者達を見回した。
「それからもう一つ、三人に言いたい事がある」
「……んだよ、質問はさっきので最後じゃなかったのかよ」
デイドが未だにニヤニヤしつつも、面倒そうに首をコキコキと鳴らしながら答えられる。
「いや、これは質問でも取り調べでもない。ただのお願いだ」
「……お願いだァ?」
首を傾げたポーズをそのままに、眉がぴくりと跳ね上がる。俺はそれをあえて笑顔で受け止めた。
「ああ、お願いだ。――……三人には、これからユニコーン討伐までの間、俺達と共にパーティで行動して欲しい」
「はぁ!? ちょ、ちょっとキリト!? あたし達、そんな話聞いてな……」
リズベットが慌てて割り込むも、
「私はその言葉を待っていたよッ!!」
「ハッ、一体何を言い出すかと思ったが……面白ェ、その話乗った!」
「ええっ!?」
という答えがリズベットの声を塗りつぶした。彼女は目を剥いているが、俺としては願っても無い返事が返ってきてくれた。
「SAOで確実に五指に入る美貌を誇る、かの《閃光》アスナ君を筆頭に、愛らしさ抜群のアイドルプレイヤー《竜使い》シリカ君、それに《リズベット武具店》の可憐な店主まで居る桃源郷の如きパーティの一員になれる日が来るなんて、まさに夢のようだよ!
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