7:霧払いの令嬢
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の内を見せる、と先程のアイテム開示で比喩したが、これはその比ではなく、文字通りと言っても過言ではない。己の力、特性、戦略。そういった戦いにおける駆け引きの生命線を相手に掌握させられるのだ。
しかも、それだけのことをしても死神を特定できるだけの効力は薄い。仮に、この中に死神が居て、スキルスロットを見せてもらっても《大鎌》スキルをセットしていなければスロットには表示されず、後は嘘で塗り固められて、こちらが騙されるだけで終わってしまうからだ。
ただ単に大鎌スキルを習得する条件を満たしているかどうかを知る為だけに、相手が情報を見せてくれるとは考え辛いが……
「私は構わないよ」
だが、ハーラインは即諾してくれた。一瞬呆気に取られ、返答が遅れる。
「えっと……本当に良いのか?」
「ハッハッハ、男に二言は無いよ」
彼は胸を反らしながら片淵眼鏡の縁に指先を当て、そう太鼓判を押した。これには流石のデイドも少し驚いている。
「おいおい、テメェ正気かよ。ついに女の妄想のし過ぎで頭がおかしくなったか?」
「ちょ、君まで私をそういう扱いかね!? ……いや別に、これらを見せるデメリットの大きさは分かっているつもりだがね。ただ、もうぶっちゃけて言わせて貰うと、乗りかけた何とやらだよ」
「オレはゴメンだ。疑われるのは癪だが、いくらなんでもそこまでしてられっか」
デイドが唾棄するように言う。だが、普通に考えればこれが一般的な反応ではある。
「ふふっ、そうかい? 私は何より、この美少女達が裏切る様など想像が出来ようはずがないからね。私は死神などではないと伝える為。それだけのことだよ」
無駄にカッコイイのかバカなのか判断に困るセリフを言いながら、ウィンドウを操作して俺やアスナ達に画面を見せてくれた。
ハーラインのスキル構成は、簡単に言えば……正直にも、ほぼ彼の言った自己紹介の通りのビルドであった。
そのレベルは68。ステータスは《鍛冶》スキルと何故か《裁縫》スキルが最も高く、次いで《両手槍》《両手鈍器》《両手棍》の三つの戦闘スキルがほぼ同じ数値で水準していた。その数値はどれもギリギリ熟練した、と呼ぶに足りうる数値ではある。そして最後に《鑑定》スキルや《商業》関連スキルといったその他の生活スキルがバランス良く……悪く言ってしまえば器用貧乏な割り振りで並んでいる。
因みにステータスは特に怪しいところの見受けられない、至ってごく普通のバランス型。強いて言えば、衣服が見た目以上に良質で高性能なのか、最大HP値がレベルの割りに意外なほど高く、その代わりに金属防具が心許ないゆえに防御値が低い。
……やはり、彼もまた《大鎌》の習得条件を満たしていた。
「……あんたは何故、三つも武器スキルを鍛えているんだ?」
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