第二話 目覚める炎その十七
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炎でも焼く、それでだった。
怪人は遂に片膝をついた、それを見逃す薊ではなく。
一気に間合いを詰め動きを止めた怪人の脳天に棒を振り下ろした、その渾身の攻撃が見事に決まると。
それで怪人は倒れ伏し身体は灰となった、そうしてさらさらとその場に消え去ってしまったのだった。
闘いは終わった、だが。
薊は灰があった場所の前に立ってだ、己の後ろにいる裕香に問うた。
「何だったんだろうな、一体」
「今の化けものよね」
「そうとしか言い様がないよな」
「カマキリだったわよね」
裕香は顔を曇らせて己の前にいる薊に言った。
「どう見ても」
「カマキリと人の合いの子だよな」
「そうよね、何か」
「あたしこんな奴実際に見たのははじめてだよ」
「私もよ」
裕香もだというのだ。
「こんなのは」
「だよな、本当に何なんだこいつは」
「それに薊ちゃんの」
裕香は今度は薊自身について言った。
「急に出て来たけれど」
「火がな」
「燃えてたわよ」
「ああ、わかってるよ」
自分でもだ、それはわかっていた。
「それはさ」
「そうよね、キックの時に出てて」
「こいつにもな」
七節棍は右手に持っている、それを見ても言う薊だった。
「火が宿っててな」
「化けものを焼いてたわよね」
「棒が燃えてないのも気になるな」
「しかも攻撃の威力が」
「ああ、全然違ったよ」
このことについても話す二人だった。
「本当に何なんだ」
「もう訳がわからないわ」
「だよな、本当に」
「やっぱりね。そろそろだと思ったよ」
ここでだ、夜になろうとする世界の中でもう一人の声が聞こえてきた、そして。
薊の前に智和が出て来た、彼はいつもの落ち着いた知的な声でこう言ってきたのだった。
「怪人が出て来るのも君の覚醒も」
「?先輩じゃねえか」
「見ていたよ」
智和はこう薊に言う。
「覗きの形になって申し訳ないけれどね」
「確かに覗かれるのは好きじゃないけれどな」
薊もそこは断る。だが今はそれよりもだった。
「けれどな」
「うん、怪人のことだね」
「そのこと知ってるんだよな」
「それと君の気のこともね」
「気!?」
「今日はもう寮に帰らないといけないね」
智和は薊にこのことを問うた。
「そうだね」
「ああ、飯食って風呂に入らないとな」
「日常生活があるからね」
だからだというのだ。
「今日はもう帰った方がいい」
「言われなくてもな」
そうすると返す薊だった。
「色々と聞きたいことがあるけれど飯と風呂は忘れたらいけないからな」
「そうだね、だから明日ね」
「明日先輩のところに行ってか」
「僕の方から君達のクラスに行っていいかな」
智和の方からこう申し出てきた、ここで。
「そ
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