アリシゼーション編
episode2 そしてまた彼の世界へ
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中で……僕が興味を持つのは……人の『魂』の在り方だ……。君の想い人は……その意味で……非常に適役だった……」
そんな俺の思いを一切読み取ることなく、謳うように話し続ける呼白さん。
ちらりと周りを見やると玄路さんはニコニコと目を細めているだけ。朱春母さんは対照的に真一文字に口を結んだまま。蒼夜さんに至っては不機嫌そうに眉間にしわを寄せたまま目を閉じて……っていうか寝てんじゃねえのかあれ。
「……血栓症による……反復性の脳の器質的破壊……フラクトライトを形成する……細胞内骨格の壊死……既に彼女のフラクトライトは……キミの知る頃の彼女のそれとは大きく変質しているはずだ……だが……僕の『共鳴』の仮説が正しいのなら……」
「きょう、めい……?」
「……話しておこう……気になるだろうからね……彼女の、ことだ……」
俺のセリフに応えた様子では、なかった。
ただそれでも、それは俺に向けられた言葉だった。
「……彼女は、助かったよ……『神月』のリュウ君が……素早く対応してくれたおかげだ……蒼夜義姉さんも、協力してくれたから……」
「っ、っ!? た、助かったん、っ」
「急場は凌いだ、ってトコね。……二度はしないわよ、あんな患者を弄ぶような真似。……ただアレは、今の医学じゃあどうにもならない。それがリュウとアタシの意見の一致。……あぁ、あの子の家族が理解ある人だったのも感謝ね」
助かった。その言葉に反応した俺の言葉を遮ったのは、蒼夜さんだった。
◆
ソラが入院していたのは、蒼夜さんの病院だった。呼白さんは自身の研究のためのサンプルとしてソラを……「借りる」、機会を窺っていた。無論そんな人体実験まがいの研究に、蒼夜さんは協力せず……結果、彼らは反目しあう中だった。
そんな中、ソラが、発作を起こした。
とうとう蒼夜伯母さんが折れて……ソラは実験機械……ソウルトランスレーター、なる機械へと治療として入ることになった。その怪しげな機械は、何の因果かかのデスゲームの筐体……ナーヴギアの進化形の一つなのだそうだ。
となると、一つ疑問が浮かぶ。
なぜ呼白さんが、そんな大層なシロモノを持っているのか、と。
◆
ニヤリ、と口の端が上がる。
それはあまり感情表現が豊かとは思えない呼白さんとは、にわかに信じがたい表情だった。
「……僕はその……製作班の一人だ……。とはいえ……プロジェクトすべての概要は把握していないよ……それが僕の研究のために……有意義だったから協力したまでだ……」
その顔に幽かな……しかし確かな笑みを浮かべ、彼は語る。
「……フラクトライトを写し取る器、ライトキューブ……構想はあったが……そのための予算がどうしても
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