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パンデミック
第五十三話「そして現在」
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は頭を抱え、当時の状況を必死に思い出そうとしている。

「ブランクさん、あのスコーピオとかレオとか言う適合者はブランクさんが追い払ったんです」

ソレンスの言葉と同時に、ブランクは大きく目を見開いた。



「…………………思い出した」



「俺は………フィリップ…いや、スコーピオに心臓を刺し貫かれた………その後に、強烈な殺意が
混み上がってきて………その後は思い出せない。一体、俺は………」

適合者である自分への疑問と嫌悪感。
ブランクの心の中にそれらが渦巻き始めた。

「適合者とは本当に分からないことだらけだ……それにブランク。何があったかは知らないが………
あいつは………フィリップは………」

「違います」

ブランクはヴェールマンの言葉を即座に遮った。



「"アレ"はフィリップじゃない。殺すべき敵、人類の害です」

「ブランク……」












「司令、緊急の会議が……目ぇ覚めたのか、ブランク」

医務室にレックスが入ってきた。

「あぁ……」

「緊急の会議?」

「はい、"クラウソラス"、"カラドボルグ"のメンバーは全員集合し、本部防衛作戦の報告をしろ、とのこと
です。暴走したブランクの処遇も、この会議で決めるそうです」

「暴走した姿を見て、兵士達の間で動揺が広がっているからな……」

「………そういうことだからブランク、お前は大人しくここで待ってろ。部屋から出ない方がいい」

「……………分かった」



ヴェールマンは椅子から立ち上がり、ソレンスに「ブランクを頼む」と言い残し部屋を出た。






「ソレンス………俺は、やはり化け物……かもしれないな」

その言葉に、ソレンスは肯定も否定もしなかった。


「それを決めるのは俺じゃありません………決めるのは自分自身だと思いますよ」
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