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−ロズミアサイド 〜ロズウェルト宅にて〜−
0941時。
目覚まし時計の電子アラームが鳴る。
よくドラマとかで見るけたたましいほどの大音量を誇るやつなんかよりはずっとずっといいわ・・・。
「う・・・ん・・・?ああ・・・そうか・・・私・・・」
と、昨夜のことを思い出す。
・・・とすると、ここはロズウェルトの家ね。
・・・怒りは沸いてこない。
深い絶望もない。
あの時の私はありとあらゆる感覚がマヒしていた。
ただ、『殺人』という禁忌を犯すことによる罪悪感によってのみ生きることを実感できた。
生きるということを実感できないのはとても恐ろしいと思う。
それは、永遠の闇の中に箱に入れられ、投げ込まれ、地獄の底の底へと落ちていくような感じだ。
わかりにくいかもしれない。
だけど、その表現しか思いつかなかった。
「こんなことになるんだったら、これをもっと早めに使っておくべきだったわね・・・」
取り出したのは、猛毒の薬。
庭師の必需品とも言っていい青酸だ。
・・・あの時の私だったらなんの苦しみもなく死ねたはずなのに。
なのに、なんであんなに生への執着を持っていたのか。
今はそんなものは全くないのに。
「ッフ・・・おかしなものね・・・そう思うと生きたくなってきたわ・・・」
「ロズミア、起きてるか?」
まったく・・・ノックぐらいしなさいよね。
仮にもここには女の子がいるのよ?
そういうのは礼儀だと思うの。
まあ、でもこの人のおかげで私はあの状態から抜け出せれた。
ならば、多少のことは許してあげようじゃない。
まあ、着替え中だったら多分青酸口の中にぶち込んでたでしょうけど。
「ええ。あと、ノック」
「え?ああ、すまんすまん」
と、今更気付いたようだが遅い。
まったく・・・。
「・・・ごはん?」
「そうだ。早く着替えてこいよ」
昨日話し合ったが、私を養子にするそうだ。
そうしたら、生まれてくる子供にも姉ができるといって喜んでいた。
奥さんは微妙そうな顔をしていたけど。
まあ、何を考えているのかはわかるわ。
大方、『あんな殺人鬼、家においていたらこっちの命が危ない』とか思ってるんでしょうね。
心外だけど、まあ、それが普通の反応よね。
現にこの手は何人もの人間の血に染まっていたわけだし。
−ロズミアサイド 〜ロズウェルト宅にて〜−
0945時。
「さあ、ロズミアも来たことだし食べようか」
「え?・・・待っててくれたんだ・・・」
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