暁 〜小説投稿サイト〜
覇王と修羅王
自称王と他称王
四話
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す最中、本能が警戒を鳴らし、鳩尾下で腕を交差させる。
 蒼い炎のような壁の中から、腹を抉り心の臓まで届くような蹴りが放たれた。

「っ!?」

 アレクの頭を通り越え、痺れる腕を使いなんとか着地し、慣性に従い少し飛び退く。
 そして、のそりと起き上るアレクと目が合うと、全身の毛が逆立った。

「止めろアインハルト!」
「やっと、やっと会えた……」
「アインハルト?」

 ノーヴェとスバルに取り押さえられるが、もう良かった。確かに彼が居たことは確認出来た。今はそれで十分だ。
 今、胸に渦巻くものは、ぶつける時までとっておこう。そう思い、再びアレクを見るが、既に其処には居なかった。


◆ ◇ ◆


「で、俺の所に来た訳か」
「うい。オッちゃん、なんとかしてくださぁい。もうアイツを留置所にでもブチ込んでくださぁい」
「ガキの喧嘩に出向く気はねえよ。それに血筋に関しては徹底しろと教えた筈だ。面倒臭がるからそうなる。自分の不始末は自分で処理しろ」
「ぐあ」

 再び警防署に現れ、机に屈伏するアレクを、後見人であり叔父でもあるフェルヴィス・アルドゥクは呆れたように見下ろした。
 話を聞く限りでは被害者であるが、フェルヴィスにとってまだガキ同士の喧嘩の範疇でしかなく、動く気には到底なれなかった。
 ただ、甥であるアレク自身がどうしたいか。それ次第では、覇気の闘法を修めているフェルヴィス個人として手を貸す事も吝かではない。

「で、どうすんだ? 抗うか? それともまた逃げるか?」
「う〜……あ〜……」

 フェルヴィスの問いにアレクは呻く。
 アインハルトと戦う、それだけで済むなら構わない。
 だが、アインハルトの様子と襲い掛かられた時に感じた衝動は、面倒な事に成るとアレクの勘が告げている。
 そんなアレクが一先ず出した答えは……。

「……魔力を封印して抗いたいと思いやす」

 覇気の闘法である機神拳だけで抗う、だった。
 魔導が関与しなければ面倒は起こらない。そう考えたアレクの発言だが、封印の手段を取るに至った心中をフェルヴィスは看破する。

「さてはお前、魔導の方はまだサボってやがるな?」

 思いっきり顔を背けるアレクに、やはりか、とフェルヴィスは深いため息を吐く。
 機神拳は覇気の扱いさえ身につければ習得できる。覇気の大小や才能なども当然必要だが、魔導の才はいらない。
 だが、リンカーコアを持ち希少技能を持つ者には、氷や炎を用いる闘法も収められる。アレクに希少技能は無いが、身体資質により全ての源と呼ばれる覇皇拳を修められる器がある。ただ、魔導を怠る今のアレクには宝の持ち腐れなのだが……。

「……まだ踏ん切りつかねえか?」

 六年前、アレクの両親は身体資質を確か
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