第一部 vs.まもの!
第8話 れいあ!
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によってたちまち治療された。
「ティアラの魔法ってすごいね。あんなにバッサリいってた傷が跡形もないよ」
「私の力は大したものではありません。レイアさんの生きようとする意志が強かったのです」
レイアは気まずいのか気恥ずかしいのか、悲しげな顔をしてすっかりうなだれてしまって、口を利こうとしない。
「あっ、そういえばそろそろ零時だよ!」
サラに言われてウェルドは時の行路図を開く。右下に書かれた動き続けるインクは、地上での時刻が零時に迫っている事を告げていた。
「ウェルド、お前、先に行けよ」
「何でだよ? 一緒に行けばいいじゃねえか」
「ついさっきティアラから聞いたんだけど、正解の通路には一度に三人しか入れないんだって」
シャルンが口を尖らせた。
「まったく、バルデスさんも教えてくれればいいのにさ!」
「あの方も、こんなにたくさんの人が一日に集中するとは思わなかったのでしょう」
「そういう事」
ウェルドは頭を掻いた。
「そういう事って。お前が行けばいいじゃねえか、危険冒して先陣切ったんだしよ」
「俺はいいって、自分の好きでした事だしさ。お前が続いてくれて助かったんだぜ、ウェルド。助言がなければ倒し方もわからなかったしな。いいから行けよ」
「じゃ、お言葉に甘えて」
「後の二人はアーサーとサラでいいよな?」
「うん、あたしも異論ないわ」
「ありがとう! じゃあ、あたしたち先に行ってるね」
いよいよ零時まで残り一分を切った。ウェルド、サラ、アーサーが横並びに立つ。
静かな緊張が漲る中、消え入りそうな声が響いた。
「……すまない」
驚いた事にレイアが、座りこんだままそう言った。
「いいや、仲間として当然の役目を果たしただけさ。だけどレイア……これからは僕たちに、もう少し心を開いてほしい。こうやって協力しなければならない事って、今後もあると思うんだ」
「光ったぞ!」
パスカが叫ぶ。
「一番奥だ、走れ!」
弾かれたように、三人は走り出した。足音が廊下に木霊する。淡く光る入り口に飛びこむ直前、パスカが声をかける。
「頑張れよ!」
ウェルドは入り口に足を踏み入れながら、パスカに手を振り返した。
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