第一部 vs.まもの!
第8話 れいあ!
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「戻れ――逃げろ――」
「そんな事できるもんか! 待ってろ、今助ける……」
ウェルドの目の前で、石像が変化した。台座がそれぞれ、赤と黒の蜘蛛に似た魔物に姿を変える。騎士像は金属めいた光沢を帯び、ぐにゃりと腕を振り上げた。その手に三日月刀が光っている。
「逃げろ――」
レイアが声を振り絞る。
「――逃げろ!!! お前たちにも、戦う理由があるのだろう!」
背後で、四人が通り抜けてきた通路を檻が塞いだ。
「もう遅ぇよっ!」
赤い騎士像が剣を振り下ろした。赤い光が迸り、パスカがサラにぶつかり床を転がった。サラが悲鳴を上げる。光はサラが立っていた場所を通り過ぎ、壁にぶつかると炎となって壁を焦がした。
「あんた、クムラン先生やバルデスのおっさんから何も聞かなかったんだな!」
「何を――」
「おい! 誰か火か氷の――!」
騎士像が、それぞれ赤と青の雲の脚で這いまわり始める。青い騎士像が剣を振り下ろすと、赤い光が迸り、左右に身をかわしたウェルドとアーサーの間を走り抜けた。壁が氷に覆われる。
「火が何て言った!?」
サラの手を引いて一旦退避したパスカが、柱の陰から顔を出して言った。ウェルドが同じように柱の陰から顔を出し、叫び返す。
「この中に火か氷の魔法を使える奴はいねぇのか!?」
「火ならあるぜ! トラップだけどよ!」
顔に向かって熱い波が飛んできた。慌てて柱に身を寄せる。奥の壁に炎が広がる。
「こいつらはよ! 赤い奴を凍らせて青い奴を叩くか、青い奴を燃やして赤い奴を叩くかしねえと倒せねえんだ!」
ウェルドは覚悟を決め、柱の陰から広間に飛び出した。青い蜘蛛の脚を持つ騎士像の前に立ちはだかり、バキュームを設置する。バキュームが作動し、騎士像が吸い寄せられてきた。
「パスカ! 早くこいつを燃やせ!」
パスカが柱の陰から飛び出して来て、トラップカプセルを高く掲げる。バキュームの入り口でつっかえていた騎士像の足許から火柱が噴出した。
「危ない!」
サラが叫ぶ。ウェルドは赤い方の騎士像が自分に向かって、今にも剣を振り下ろそうとしている事に気が付いた。
やべっ。
凍りつく。
その騎士像の眼前に、太い円柱が並んだ。炎の波は円柱に阻まれ消えた。
「僕のトラップさ」
アーサーが自信に満ちた表情で微笑みかけた。緊張が消え、ウェルドは感謝の意をこめて微笑み返す。大剣を手に走り出した。
「えいっ!」
いち早く駆け寄ったサラが、フライパンを騎士像に叩きつける。アーサーが剣で突き、ウェルドは仲間に当たらぬよう大剣を縦に振って、騎士像を両断した。
一対の騎士像の魔物は融けるように消滅した。
※
「これで大丈夫です」
ノエルが町に戻ってティアラを呼んできてくれたとのことで、レイアの怪我は魔法
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