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Angel Beats! the after story
その手を伸ばせ
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留守番として私が残りの子供たちのめんどうをみている。さすがに何ヶ月も手伝っているため、留守番を任せられるまで信頼されていたけど今回は他の先生を呼んだ方がよかったと思うわ。

私のあやしも無駄になり、包丁を持った男はうるさい!と怒鳴り散らす。
それが火に油を注ぐことになり、ますます泣き声が大きくなる。

今、私が思っていることは一つ….…子供たちを無傷で逃がすこと。自分に何があっても……。だんだん鮮明に思い出される、大切なものを失った記憶。私の小さい頃に似ている長女。弟と妹のために必死で強盗が喜びそうなものを探す。でも、結局は何も守れなかった……何一つ。

なんでこんな記憶が浮かんでくるのよ!知らないわよこんな記憶!でも、もしこの記憶が本当に私の記憶なら、必ずこないはずの助けを永遠に呼んでいたと思うわ。

なぜかしら、日向くんとユイちゃんの馴れ初めの話が浮かんでくるのは……どうせ誰も来ないなら、マネしてもいいよね。

………誰か…助けて……


「ゆ〜〜〜〜り〜〜〜〜!!!!」
近所迷惑ってほどの大音量の声とガラスの割れる音とともに現れた……
「お…とな……しくん」
「大丈夫かゆり!早く子供たちを逃がせ!」
ほんと…かっこよすぎよ。タイミングもバッチリ、狙ってたんじゃないでしょうね。でも今は…

「みんな!早く外に出て!慌てないでゆっくりよ!」

誰よりも早く逃げる自己中心的にみんななると思ったけど、子供たちは立派に成長していた。男の子は女の子を先に行かせて、腰を抜かして立てない子には手を差し伸べる。こんな状況じゃなかったら泣いて喜んでいたかもしれないそんな光景だった。

「逃げてんじゃねぇ〜ぞ!」
いきなりの乱入者に戸惑っていた不審者は子供たちが逃げていることに気づき、包丁で攻撃をしようしている。

「行かせるかよ!」
「みんなこっち!」
音無くんは必死に不審者の包丁を持つ手を抑える。遅れてやってきたかなでが外に避難した子供たちを移動させていた。

かなでたちが見えなくなり、ようやく避難が終わる。
「音無くん、こっちは終わったわ!」
「了解!」

音無くんは私の方に顔を向けて子供たちが避難したのを確認した。だけど……
「邪魔だ!」
音無くんが顔を不審者から逸らした瞬間だった。

不審者は音無くんの一瞬の隙を利用して、音無くんの手を振りほどき、そのまま私めがけて包丁を突き出してくる。

目をつぶった。でも、いくら待っても痛みが感じない。そっと目を開けると、目の前に音無くんが立っていた。
「大丈夫かゆり?」
「大丈夫かってあんた、人の心配してられる状態じゃないでしょ!」

「そうかもな。でも、体が勝手に動いたんだ。戦線のリーダーを守るのが戦線のメンバーの役目だからな…ケホケ
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