stay night
02F?higkeit
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世界は無限に続いている。
そう。それは周知の事実であり、世界の業でもある。
無限と相反するもの、有限。
人が望める最高ですら有限。
命すら有限。
だがしかし、彼の命は有限にして夢幻。
全ては幻であり、夢の中の出来事である。
否定してしまえば夢になろう。
死んでしまったならば幻にして蘇らせよう。
この理、夢幻にして地獄。
自らを夢幻と罵り、夢幻を敬う。
死すらその在り方を変えることはできず、ただ呪いのように彼を縛り付ける。
夢幻とはなんだろう。
無限とはなんだろう。
全ての理を破壊する可能性があるのだろう。
命を破壊する理なのだろう。
心のどこかに存在する死。
それは真の心なのか。
模索する人形。
だからこそ彼は自分のことをこういうだろう。
命を遊ぶ人だと――。
いつも通りの悪夢。
しかしそこに少女の姿はなかった。
永遠に続く地獄絵図。
違うところは一点だけ。
目の前に存在する自分。
「誰?」
「俺はお前だ。区別するならばお前の黒。黒夕璃だな」
自分がしない様な歪んだ表情で笑う黒夕璃に、夕璃はぞっとした。
「何でその黒夕璃がここにいるんだ?」
「それはお前、俺が俺であるためだよ」
心象風景に溶け込むように存在する黒夕璃。
「世界には固有結界を使用できる人間が何人いると思う?」
「固有、結界?」
「あぁ。お前は知らないだろうが、魔術だ。これも固有結界として発動できるが、お前のは出来損ないだ」
出来損ないと告げられた自分の世界に、夕璃は少しの疑問も持たない。
この世界が出来損ないでなければ何なのかという話なのだ。
「使えば使うほど自分の首を絞めることになる。俺はまだ死にたくないからな。使うな」
「何でお前に決められなきゃならない」
別に死ぬくらいいいじゃないかと続けようとして、夕璃は止まった。
死ぬくらいいいじゃないか?
「お前死ぬくらいいいじゃないかとか考えてただろ」
図星の夕璃は一歩下がる。
「だからお前は狂っている。お前の命は夢幻故に、死ぬことに恐怖なんて抱かないんだよ。俺の命は有限だ。ただ俺の力は夢幻だ。お前の力は有限だ。考えろカス」
そう言うと、一瞬にして目が覚めた。
「何だったんだ……」
いつもとは比べ物にならないほど尋常ではない汗。
トレーニングを始めようと寝間着を投げた瞬間、扉の奥から覗いているジト目と目があった。
「ストライカー?」
「護衛中。いきなり脱ぐな」
少し顔を赤くしているストライカーに可愛いなと思いながらも、夕璃はジャージを取ってストレッチを始めた。
「少し走ってくる」
「私も行く。一人は危険」
それ自体は昨日の襲撃で知っている。
自宅が割れ
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