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第一章 〜囚われの少女〜
物語の世界
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見えなくなりました。
「そこのだんな、ちょっとお待ちよ」
 そこへ声を掛けてきたのは、片目を蝶の眼帯で隠し、銀髪を高く結んだ人物でした。少年より悠に高い背、綺麗な色をしたショールの下にはたくましい腕がありました。
「なんだよ兄ちゃん、何か用か?」
 その人は一瞬、顔をひきつらせたような気がします。それから笑いました。
「うふふ♪ ……その少年、あたしが頂いてもいいかしら?」
 お屋敷のだんなは少々青ざめています。
「こいつをどうする気だ……。こ、こいつは俺が雇ってんだ。貰おうってんならそれなりの――」
「カ・ネ?」
 何かがぎっしりと入った袋を目の前に差し出され、だんなは何も言えなくなりました。少年の腕をはなすと袋の中を確認します。
 カチャカチャと音を立てるのは金貨でした。そこから手で宝石をすくい、目を凝らします。
「――いいだろう。ぼうず、世話になった。幸せにな」
 その言葉の意味はわかりませんが、少年は背中を押され、だんなはお屋敷の方へ帰っていきました。
 ぽつんと残された少年に、銀髪の人物は言います。
「突然で驚かせたね。アンタさっき、鳥の事気にしてただろ? そこで気に入っちゃったわけ。アンタみたいな優しい少年を探してたんだ♪」
 その人は嬉しそうでした。でもそれだけの為に、だんなにあのような大金を渡したのでしょうか。
「あの……」
 少年は何か言いたげにしています。
「ん? お金のことなら心配しないで。その分働いて貰うからさ♪」
 それはよい意味ならいいのですが、少年にはさっぱりわかりません。その人の素性もわかりません。お金のことも、何か悪い事をしていなければいいのですが。今の少年にとっては、その人だけが頼りでした。
「あの、さっきの鳥を助けたいんです」
「そのために自分はどうなっても、構わない?」
 少年の心は変わりませんでした。綺麗な蒼の瞳は先ほどのように、その人をまっすぐ見つめています。
「いいわね♪ アンタのそういう所。ますます気に入った! 磨けばダイヤになる」
 笑顔でそう言われると、なんだか嬉しくて恥ずかしくなりました。
「――そうそう、アタシはライラ。よろしくねん♪」


                             −第二十二幕へ−

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