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BLUEMAP
第一章 〜囚われの少女〜
魔法仕掛けの部屋
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かった音は固く、その衝撃の強さを物語る。少女は男が落ちる前にひらりと、男をよけていた。さらには余裕の笑みを浮かべている。
「い……いってぇ! いてぇじゃねぇか!!」
 しかし、先ほどの少女の言葉に拍子抜けした訳ではない。一瞬にして魔力が無効化される何かが起こったのだ。
 それはどうやら、少女が棚から本を抜いたことが関係しているらしい。少女は手のひらで、分厚い本を弄ぶ。
「ふふふっ♪ このお部屋、面白いでしょ」
 先程まで冷静だった少女は、上機嫌そうにほほ笑んでいる。
「それにしても、ドジな侵入者さん? そう、簡単には行かないのよ?」
 この部屋の仕掛けによって魔力を奪われたのか。それとも魔力を無効化する装置が働いたのか。どちらにしても、痛みと無力感で体が起こせないことには変わらない。そして少女を上目ににらみつけることが、今できる精一杯の抵抗だった。
「あ〜あ。大きな虫を捕まえちゃった。さぁ、一体どうしよう?」
 柔らかに微笑み、こちらを見降ろす少女。その無邪気な台詞には嫌な予感しかしない。
 魔術を使えない今、男は一抹の焦りを感じていた。とはいえ、こんな小柄な少女なのだから、仲間を呼ばれさえしなければ殺されることはないだろう。
 しかし不思議なことに、少女からは敵意は感じられなかった。それどころかまるでいたわる様に、優しい目を向けられているような気がする。
 それが逆に、少女の思惑をわからなくさせた。目的は何か。メイドではなく、ただの侍女なのか。そして男には、もう一つわからないことがあった。それは――
「侍女とメイドの違いって……なんだ?」
 今度は本当に、少女の方が拍子抜けしたようだった。
「な……っ!? そ、そんなこと、あなたに関係ないでしょ!」
 気を取り直して、少女は冷静な表情に戻る。そして、手を上に高く掲げた。
「あなたが探していた本はこれかしら?」
 本棚の上の方から、一冊の大きな本が引っ張り出される。というよりは、本が勝手に出てきたといった方が良いのだろうか。いずれにしろ、少女の掲げた手が操作しているのだろう。
 ゆっくり、少女の手元へと落ちていく本。そしてそのまま手のひらに到着すると、少女はその本を男の背中に落とした。
「ぐえっ!?」
 男の悲痛な奇声と、本の重厚な音が同時に鳴る。
「いちいち何だ!?」
 その様を見る少女は、どこか楽しそうだった。
「あら、ごめんなさい。あなたの探していた本、これじゃない?」
 本を背中からおろし、男はすぐさまそれに目をやる。それは分厚く、赤い表紙の本だった。表紙だけを見るが、男にはその表題の文字がわからなかった。読めなかったのだ。だが、本を持った瞬間に何か予感がした。この本は確かに、男の探していた本なのだろう。
 しかし、なぜ少女は、それを知っていたのだろ
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